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至上命令は緊縮財政=新長官任命で体制整える=金利以外のインフレ抑制策として

5月10日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】パロッシ財務相は新財務長官としてムリロ・ポルトガル氏を任命し、緊縮財政を至上命令として実行するよう命じた。来年度の大統領選挙で、野党側の対立候補は現政府の支出増加を攻撃してくるのは必至で、ルーラ現政権を続投させるためにはこれを避けなければならないとして、年内の支出削減が絶対条件だとの認識を同相は示した。
 ポルトガル新長官は、ルーラ政権発足と同時に国庫長官に就任、国庫支出を固くなに抑えて中銀総裁の呼び声も高かったが、パロッシ財務相はメイレーレス現中銀総裁という人材を得たことで、二〇〇三年当時はIMFの監視下にあったことから、新長官をニューヨークに送り込んで交渉に当たらせた。
 今年三月にブラジル側がIMF融資の更新を打ち切ったことで任務を終え、省内NO・2として緊縮財政の切り札として起用された。レヴィ現国庫長官も当時のポルトガル路線を継承して支出削減を実行している。
 最近では政府高官の出張の際、これまでの飛行機のファーストクラス使用を禁止し、エコノミーに搭乗することを義務づけて話題を呼んだ。パロッシ財務相はこの「握りこぶし」の両雄の二人三脚で、新スタッフによる緊縮効果を期待している。
 さらに新長官には、金利引き上げに頼らずにインフレを抑制する案を模索することも課題として出された。内外から高金利批判が高まる中、ルーラ大統領が金利一本槍でのインフレ抑制策は失政だったと認めた。これを受けてパロッシ財務相も方向転換を決意するに至った。
 いっぽうで財務相は、新長官の次期中銀総裁への就任も視野に入れている。メイレーレス現総裁が来年の下院選挙に立候補する意向を示していることと、資金洗浄や所得隠しで最高裁が捜査を開始していることから、不正事実が確定すれば辞任は必至とみられている。
 メイレーレス中銀総裁は財務省の方針を受けて、緊縮財政はインフレ抑制の大きな材料となるとの見方を示した。その上で、中銀はインフレ抑制の新政策を発表する用意があることを明らかにした。また国民はインフレの怖さを実感していないとし、インフレこそ諸悪の根源だと決めつけた。さらに高金利については、インフレ抑制の目途がついた時点で引き下げを実行すると語った。インフレが上昇する中で経済成長を遂げた例は世界でも見られないとして、高金利政策の正当性を強調した。