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ドル安でも衰えない輸出=貿易業界に異変=高まった製品の付加価値=輸出金融はまだ勉強不足

5月11日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙四月二十六日】ドルは二〇〇五年に入ってから、坂道を転げ落ちるように続落している。レアル通貨の下落を内心歓迎した者には試練の時だが、貿易業界に異変が起きている。輸出の既成概念を改めなければならない。四月初め二十二日間の為替相場は、昨年同期比で二八・四%のドル安なのに、貿易黒字は昨年同期比四八・六%増。加工品の輸出は、昨年同期比で三〇・二%増と好調なのだ。ドル安で輸出はダメだと嘆く一方で、着々と輸出実績を挙げる企業が増えている。
 ドル安でも輸入は、昨年同期比でわずか一九・二%増に留まっている。輸出関係者は前年の輸出契約履行であって、輸出が好調なのではないと反論した。政府は為替率が輸出に影響しないと発表し、輸出業者の神経を逆撫でしている。
 ドル安は、輸入資材を主に加工する企業には有利である。エンブラエルのように八五%の資材を輸入する場合はコストダウンに役立ち、笑いが止まらない。ドル安傾向に便乗し、輸入資材を加工するメーカーが増えている。
 輸出業者にとっては為替レートばかりでなく、金利も重要である。輸出契約で受け取る代金を金融市場で運用するという余禄がある。さらに輸入資材が高騰した場合は、輸入業者と価格調整の交渉を行う選択肢が輸出業者には残されている。
 テンデンシア・コンサルタントを経営するアマデウ元労相は、輸出量が輸入量より増加したのは、付加価値が確実に高まったためと話す。それは産業構造に変化が起き、為替レートに影響される部分が減ったことを意味するとしている。
 ブラジルのメーカーは数年前、国内販売に力を入れた。平均して輸出よりも高く売れ利益も多く、品質もひどくなかった。輸出には売れ残りや返品された製品、余りものといった邪魔物を回した。現在は外国市場の方が安定し、輸出は世界経済の好調で波に乗っている。国内市場よりも外国市場の方が懐が深く、大量に生産しても消化する。市場の浮沈幅も外国市場は小さい。
 グロバリゼーションは、ブラジルの大企業を外国市場へ追いやり、国内市場は売れ残り処分の場となった。特に多国籍企業は、ブラジルの国内販売のために店を開けたのではない。現地における原料調達と優秀な人材確保、有利な生産原価などの理由で資本投下を行ったのだ。
 八〇年代にブラジル進出を果たした多国籍企業は現在、グローバル化に合わせて資材購入と販売戦略で組織のリストラを行っている。企業の組織構造再編を実施しているのだ。
 輸出業務がグローバル化している証拠が二つある。第一は世界貿易機関(WTO)のレポートに国際貿易の三分の二は、多国籍企業間か、一方が多国籍企業の取引であるという。第二はブラジル輸出の八九・五%が、二一・三%の企業により行われたこと。これは輸出が大規模化していることを意味する。
 輸出は、単なる商業取引ではなくなった。輸出業務には金融業務や融資業務も含まれ、大規模な組織活動となっていることだ。輸出には、ブラジルでは想像もできない低利の輸出融資と長期決済で、多数の外国企業群が養われている。
 輸出入決済は日本などの貿易立国では歴史が古く、珍しいことではない。しかし、ブラジルはまだ揺籃期にある。ドル安の中でも好調を維持できる輸出システムをブラジルの企業家はまだ知らない。これは勉強不足もあるが、ブラジルが説明の仕様がないほど外国貿易に遅れているのだ。
 ブラジルの大学の経済学部教授は、国際貿易と国際金融の関わりを教えない。ブラジルの輸出業者がドル安を嘆く責任の一端は、大学教授の怠慢にある。

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