5月13日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】サンパウロ市で今、串焼き(エスペチーニョ)が人気を呼んでいる。この料理の専門店が相次いで出店、または新装開店をして盛況を見せている。串焼きは日本流で言うと焼き鳥や炉端焼き風なので、シュラスコの縮小版と言ったところか。専門店も気軽さを前面に押し出してバールの喧騒さと不衛生さを失くし、レストランの格式張った雰囲気とは違った中間的な空間を作り出している。
串焼きの歴史は古く、人の集まる駅前やバスターミナルの路上で販売されてきた。とくにサッカースタジアムの入り口では欠かせぬ存在で風物詩を成してきた。その勾いに誘われて買う客も多いが、反面非衛生的なことや、何の肉が使用されているか判らないなどの不信感で、生つばを飲み込みながら敬遠する向きも多い。専門店はその心理を上手く突いた。
ピニェイロス区のエスペチーニョ・ダ・ヴィラ店で昨年十二月に開店以来の常連客となった一人も、生つばを飲み込んでいた一人で、新鮮で上質の肉を同店で堪能、同僚や友達の溜まり場として勤務後のひとときを過ごしている。串焼きは常時用意され、店内で回ってくるので好きな物を選べる。注文したビールより早く回ってくるという。値段も手頃で、牛肉、鶏肉、リングイッサ(腸詰め)、ハツなどが一本一・五〇レアル、チーズやにんにく焼きパンが一・八〇レアルとなっている。
ポンペイア区のカーザ・ド・エスペットではロジージオ(一定料金で食べ放題)形式を採っている。シュラスコの串焼きの定番に加え、ナスやジャガイモ、ブロッコリ、アルカショフラの野菜のほか、パイナップルも焼いている。また、クリームやチョコレートをメニューに入れて合計二十九種類を提供している。
週末になると五百テーブルは満席となり、空席の待ち時間は、一時間以上になるという。この店は近々、サンターナ区に二号店を開設する。ピニェイロス区のマリオ・ス・バールでは毎日七十人以上が来店するが、一度は材料もビールも底をついて客に帰ってもらったことがあると苦笑いする。近辺は高級レストランが多いので、一本二・五〇レアルの値段が評判を呼んでいるという。
サンタ・セシリア区のエスペチーニョ・セルベジャ・CIAは専門店の先駆者の一人だが、現在一日三千本以上の売り上げを誇っている。
主な専門店を紹介すると▼アシン・アサド…モエマ区(電話5041・0964)▼カーザ・デ・カルネ・フロレンサ…ポンペイア区(3862・8227)▼カーザ・ド・エスペット…ポンペイア区(3676・0436)▼エスペチーニョ・セルベジア…サンタ・セシリア区(222・7140)▼エスペチーニョ・ダ・ヴィラ…ピニェイロス区(3813・7968)▼エスペチニョ・ナチングイ…ビラ・マダレーナ区(3812・2436)▼マリオ・ス・バール…ピニェイロス区(3062・6936)▼オフィシナ・ド・エスペット…スマレジーニョ区(3673・9171)▼オス・プラゼーレス・ド・シュラスコ…ヴィラ・マリアーナ区(5573・0537)。