5月17日(火)
県民にブラジル移住者や子弟の活躍を紹介したい──。山口県日伯親善協会(宮田末春会長)が、会報を創刊。山口県文化協会(=県人会、平中信行会長)と母県との橋渡し役になりたいと、張り切っている。同協会は日伯交流を活発にしようと、三十年ほど前に民間ベースで設立された。ここ最近、活動が鈍化していたという。ブラジルからの留学生を初めて受け入れたことで、再活性化してきた。
宮田会長(80)によると、同協会の主な活動は県人会の節目の年に、ツアー参加客を集めることだ。会員七十人の会費と、ブラジル国内に姉妹都市を持つ下関、周南市の支援で細々と運営されている。
県人子弟の女性が日本財団を通じて、昨年から一年の予定で山口大学に留学。日本語を学んで、近々帰国する。同協会が、日常生活などの世話を任されたのがきっかけで、関係者の意識が盛り上がった。
海外県人会の世界大会が昨年開かれことも、後押し。会報発行に、こぎつけた。創刊号には、この留学生の寄稿や平中会長のあいさつなどが掲載された。年に二回の予定で、宮田会長は「県人会と密に連絡をとって、山口とブラジルの身近な記事を提供していきたい」と張り切っている。
同会長の来伯回数は、これまで四回。実はかつて、県庁の移住係りに籍を置いていた。一九六一年に「あるぜんちな丸」の助監督となり、県出身者らをバルゼア・アレグレ移住地(マット・グロッソ・ド・スル州)まで引率した。
受け入れ態勢の不手際や不毛な土地で永年作物がなかなか見つからなかったことなどから、国の移住行政が批判された、いわくつきの移住地だ。移住者の送り出し側に立っていた、宮田さんには、胸につかえる思いがあるようだ。
「県との間に立って、ぜひ県人会との皆さんの役に立ちたい」。
県費留学生や海外技術研修員の受け入れ枠は、それぞれ二人と一人。緊縮財政で将来、締め付けがきつくなる恐れがある。県人会は、親善協会の活動が交流事業の起爆剤になってほしいと、思いを込めている。
平中会長は「仕事の関係で、毎年日本にいく。県庁など関係機関・団体にお百度を踏みます」と意欲的だ。
同県出身の河村健夫前文部科学大臣(日伯議員連盟事務局長)が今年三月にブラジリアを訪れた時、グアルーリョス空港で懇談。県との関係強化を図っていきたいことなどを伝えたという。
海外県人会の世界大会は次回、ブラジルで開かれる。宮田会長は「山口ゆかりの人が、各国からブラジルにいくことでしょう。世界大会を盛り上げるために、我々も知恵を絞りたい」と語った。