5月19日(木)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十八日】郵便局汚職の解明に向けた議会調査委員会(CPI)設置で奔走する野党は十七日、上下両院で必要数を上回る支持票を獲得した。事件の発端は、マリーニョなる人物が契約に便宜を図り謝礼を受け取った場面を録画され、システムの首謀者がブラジル労働党(PTB)党首であると示唆したことに始まる。ジェフェルソンPTB党首はCPI支持に署名し、モリナという人物の陰謀であり、自身は被害者だと弁明した。ビデオテープによると、ルーラ大統領の友人も事件に関与しているという。
政治資金徴収システムが音沙汰される中、その一角である郵便局に火が付きそうだ。与党のなし崩し作戦は、失敗したようだ。しかも与党労働者党(PT)左派の下議十三人は、CPI設置支持へ回った。ルーラ大統領は、ジェフェルソン党首の潔白を信じ共闘すると伝言を送った。政治家の周辺には無断で他人の肩書を悪用し、表沙汰になると無関係を装うシステム構築のプロがゴマンといる。
これまでビンゴCPIのように支持票を十分集め合法的手続きを踏んだが、当時のサルネイ上院議長に握り潰された例もある。カヴァウカンチ下院議長は、連邦警察が郵便局汚職の捜査を行っているから議会調査は不要であると述べた。
郵便局汚職は、政界を取り巻くヘドロの海とか連立党と公社の腐れ縁、氷山の一角などと呼ばれる。コロル元大統領は汚職の責任を問われ任を外されたが、腐敗は何も変わっていない。汚職捜査は長官や次官クラスまでは及ぶが、その下の部長や課長の鼠クラスまでくると立ち消えになる。
金のかかる政治が行われる限り、政治献金は悪循環する。政治家が手を汚さなくても、誰かが手を汚し責任を取らされて葬られる。ジェフェルソンPTB党首は、自分はやましいことは全くないと下院本会議で啖呵を切ったが、耳を貸す者はなく空しくこだました。犠牲者とヌケヌケいう言い訳が空々しい。
ススアナ上議が紹介した黒幕モリナとの出会いを報道した記事は誤報だと同党首は訴えた。モリナは最初、同党首に郵便局本庁の局長紹介を請願した。断るとススアナ上議を介して、テープを売り込みに来た。これは脅迫であった。これも断ると、週刊誌へ持ち込んだ。録画には郵便局契約を解約された空軍の退役軍人が絡んでいるとみられる。
郵便局で吸い上げた資金は、乾分のPTB議員に配る小遣いになる。PTBは、公社の二千にのぼる管理職の割り当て枠がある。その他、地方警察署長の割り当て枠もある。
PTBは単なる一政党ではなく、豊かな資金源を持つ政党で、CPIなど問題にしていない。PTBは連立関係を引き換えに、労働者党(PT)から一億二〇〇〇万レアルのカネがなる木をもらった。
ジェフェルソン党首は前政権時代、カルドーゾ大統領(FHC)忍者部隊の一員だった。FHC政権の汚れ役を一手に引き受けていた。成功したらFHCの手柄に、失敗したら黙って責任をとり闇に葬る。政界の黒子役を長い間担当したが、PT政権で表舞台に登場した。最早、黒子ではないという。
証拠物件とされるビデオテープには、大統領の友人マウロ・ドットゥラ氏が経営する企業ノーヴァダッタが郵便局との五五〇万レアルの追加契約で入札に加わり、マリーニョが便宜を図るから謝礼を打ち合わせようという件がある。