「条文と格闘しなさい」。大学で国際法を学んだ。恩師は環境条約が専門。法律上の抽象的な概念を頭の中でこねくり回すよう、叩きこまれたのが記憶に残っている。
先日、シャパーダ・ドス・ヴェアデイロス国立公園でIBAMA─JICAの環境プロジェクトを取材した。
決して、裕福とは言えない地域住民たち。「明日、食べるものがない人もいる。経済開発のベースをつくることが先決だ」。環境保全と生活向上の間で、揺れる心情をぶつけてきた。
日本の専門家も、あらかじめ定められた成果が求められているので、緊迫感が漂う。法律書には現われない、現場の感覚があった。
ブラジルの八八年憲法で環境権が明記され、法整備もかなり進んでいるようにみえる。果たして、実態に見合っているのだろうか。(古)
05/5/19