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コラム 樹海

 町村信孝外相の元気がいい。世界の国々に駐在する大使ら約120人を東京に呼び「常任理事国入りに尽力されたい」と指示したのは、なんとも格好がいい。そして―。日独とブラジル、インドのG4が、各国の国連大使らに協力を要請する会合を開いている。だが、前途は必ずしも楽観を許さない状況が続く。最大の課題である拒否権でもインドは「持つべし」の強硬派▼日本は「持ちたい」のが本音だけれども、米国の反対論もあり、かなり柔軟派。ブラジルは暫くは無くても20年後に見直し論を展開するなどG4での内輪もめもある。口では簡単に「安保理入り」を唱えるが、実現となると、事はそう簡単ではない。日本には中国と韓国などが「反対」を表明しているし、ブラジルには隣のアルゼンチンが嫌な顔をする。ドイツにだってイタリアが渋い表情なのである▼日本には、集団的自衛権の問題もあり、国内の議論では「これが認められないと安保理入りは困難」の指摘も多い。今の国連加盟国は191ヵ国である。このうち3分の2を満たす128票の賛成がないとG4が提出した決議案は採択されないの難問もある。町村外相が大使らに集票に努力せよの「檄」を飛ばしたのも、アジアやアフリカから1票でも多くの支持をの考えがある▼国連改革が必要なのはみんなが認めてはいる。国連が創立されてから60年。これは自然の流れだろうが、さてどう具体化するのかとなると、各国の思惑が入り乱れる。この乱戦を乗り切らないとG4とアフリカの2国の新しい安保理国の誕生は難しく、NYでの熾烈な外交戦が激しいが火花を散らす。(遯)

05/5/19