バッテパッポ

5月20日(金)

 サンパウロ市当局はレプブリカ公園の改装に着手した。都心部のかつての繁華街のド真ん中にあり市民に愛された公園だが、今や昼はヒッピー、夜は犯罪者や売春婦の溜まり場となっていた。ヒッピー市にかこつけ、あらゆる業種の違法バラックが立ち並んでいる。飲食店もあるが、市衛生局の検査を受けないため非衛生営業だ。当局ではとりあえず柵で公園を囲み、入口に警備員を配して不法侵入者を排除する。その後、樹木や池を掃除して自然な姿で、市民の憩の場に戻すとしている。
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 サンパウロ市北部と西部で、通り魔強姦グループの出現の噂が飛び交い、市民とくに女子学生らはパニック状態に陥っている。これに輪をかけて出所不明の犯人四人のモンタージュ写真が配られたことで信憑性を呼び、女性らは夜の外出は避け、昼間でも一人歩きをしないことを申し合わせた。警察では噂を否定しており、モンタージュ写真もいたずらと見て、作製者の割出しに躍起となっている。
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 刑務所の受刑者は母の日に期限付きで仮出所の恩典が与えられる。レビィ・モラエス(三二)もその一人だが、ほかと違うところは、母親が幼い時に死んでいなかったことだ。しかし異議を申し立てる理由もなく、久し振りにシャバに出た。所持金がなかったことから同じく仮出所した二人とサンパウロ市東部で四十五歳の女性を電撃誘拐し、自動支払機で金を引き出させた所で現行犯逮捕された。誘拐の目撃者が通報したもの。犯行の動機について三人は「子供のミルク代が欲しかった」と供述した。警察が調べたところ、三人は子無しだった。三人は刑務所に逆戻りした。レビィ・モラエスは天国にいる母親の怒りをかったと、うなだれているという。
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 女性の職場進出は目ざましいが、ブラジルではまだ男性との格差が大きく、平等の待遇を受けるには程遠いことが明らかとなった。スイスのジュネーブに本部を置く世界経済フォーラムが五十八カ国を対象に男女平等度を調査した結果、ブラジルは五十一位に位置した。平等度は一から七までのポイント制で、トップのスイスが五・五三に対し、ブラジルは三・二九だった。女性の給料は同じ仕事をしている男性の半分以下で、失業率は男性の一・五倍に上ることが不平等の最大要因だった。このほか、ラテンアメリカ諸国の中でも最低となり、世界で最貧困国と言われるバングラデシュよりも低いランクとなった。