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非正規雇用、6年で倍増=31%は「やむなく」=年金積立てず老後に不安

5月21日(土)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十日】未登録営業や社員の非正規就業が急増しており、二〇〇三年までの過去六年間で倍増したことが、ブラジル地理統計院(IBGE)の調査で明らかとなった。これには家政婦と農業従事者は含まれていない。
 調査によると、九七年から〇三年の間、労働人口が四%増えたのに対し、非正規従業員は八%増となった。九七年で千二百九十万人だったのが〇三年には千三百九十万人に膨れ上った。このうち三一%は正規雇用の就職口が見つからず、やむなく不法就業やカメローと呼ばれる露天商人になったとしている。
 また社員五人以下の零細企業千五十二万社のうち九八%に相当する千三十三万社が何らかの形で会社法の条件を満たしておらず、七百六十社に至っては無届営業をしている。このうち二十万社は会社設立時、正規の手続きを行ったが、煩雑な官僚主義と経費に嫌気がさし、途中でサジを投げたという。
 州別ではサンパウロ州が二十五万社強とトップで、労働人口の二五%を占めた。次いでミナス・ジェライス州の十万社で一〇%、リオデジャネイロ州が八万社で八・四%だった。これらの売り上げは九七年では二〇〇億レアルで国内総生産(GDP)比率が八%だったが、〇三年は一七六億レアルに減少、対GDP六%に下がった。
 非正規従業員の男女比率は、男性八百八十七万人に対し女性は四百九十八万人で、男性が六割となっている。月収も平均で三六三レアルだが、男性は三七八レアル、女性は三三八レアルで正規雇用と同じく男性優位となっている。
 男性が生活費を稼ぐために働くのと違い、女性は家計の足しにするつもりで、しかも命令する上司がいない職場を選ぶため、いきおい低賃金に甘えることになる。
 学歴も九七年には高卒や大卒はいなかったが、〇三年には二百九十万人の大卒が経営者や自由業者となっている。この年代は四十歳から五十九歳に多く、非正規従業員の平均二十五歳から三十九歳より年齢層が高い。
 いっぽうで就業時間も正規雇用よりきびしい。正規雇用が週休五日制で四十時間から四十四時間なのに対し、月間二十一日から三十日労働で、四十時間から六十時間となっている。六十時間は全体の八%となっている。個人で社会福祉年金(INSS)を積立てているのは女性が一二%、男性が一一%で、零細企業では社員登録もしていないため、ほとんどが積立てていないことで老後の生活に不安を抱いている。