5月21日(土)
来年七十歳の写真家村上カリストさんは、ヴォルピやレボーロら多くの画家と親交を結び、作品のみならず、展覧会に集まる美術関係者もカメラに収めてきた。アルヴァレス・マシャド市生まれ、サンパウロ市に移ってきたのは一九六三年。翌年からヴォルピとの家族ぐるみの付き合いが始まったそうだ。「絵の中に四十年いますね」の言葉には、実感がこもっている。
イピランガ博物館、ルス駅、サンタ・イフェジェニア橋などサンパウロ市の名所をテーマにした村上さんの写真展「セナス・ウルバナス」はさしずめ、「サンパウロの中に四十年」ならでの、気取りない視点で撮影されたものだろう。二十五日からリベルダーデ区のカーザ・ド・ポルトガルで始まった。六月六日まで。
どれも標準レンズが使用され、劇的な構図はない。われわれ一般の歩行者と同じ目線で撮影されている。「カメラを携帯して歩いているので、気になったときに取り出して」のスナップ感覚だ。作品は五~六十センチサイズに引き伸ばされており、じっくりと細部までサンパウロの表情を見つめ直すことができる。
印象派の巨匠の絵画を多数所蔵するサンパウロ美術館(MASP)の展示風景の模様や、サンパウロ国際美術ビエンナーレ会場をとらえた、村上さんらしい写真も散見する。友人の著名美術評論家ジャコブ・クリントヴィッツさんが今展に言葉を寄せており、「都市と建築の普遍性、その中に住んでいるわれわれの日常を、常に一定の淡く柔らかい光の中で記録している」と書いている。
画家マルシオ・シアスさんによる、サンパウロの町を題材にした絵画展を同時開催。リベルダーデ広場602。午前九~午後五時。