ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 郵便局汚職疑惑=連警に徹底捜査命令=大統領=疑惑解明に先手=CPI設置阻止で裏ワザ=野党「政府の小細工には乗らない」

郵便局汚職疑惑=連警に徹底捜査命令=大統領=疑惑解明に先手=CPI設置阻止で裏ワザ=野党「政府の小細工には乗らない」

5月24日(土)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十三日】訪日に先立ってルーラ大統領は二十二日、ブラジル再保険院(IRB)や郵便局(ECT)を巡る汚職告発を連邦警察が徹底捜査するよう、バストス法相に命じた。大統領府は野党による議会調査委員会(CPI)の設置に動揺しない様子を見せていたが、大統領は戦略を変更、疑惑解明で先手を打って政府自身の意欲を示し、CPIを封じる考えのようだ。大統領は特定個人をかばわずまた犠牲にもせず、こだわりのない方法をとるよう指示した。
 大統領は十九日夜、IRBとECTの問題が政治問題へ飛び火する可能性があるとして、事態の重大性を報告された。大統領は、郵便局疑惑のCPI設置を軽視していたようだ。事実を裏付ける情報が、国家情報局(ABIN)からも報告された。
 事態は単なる末端下級党員の汚職に止まらず、政府中枢にも及ぶ大規模な事件であると連立与党からの忠告を受け、大統領は公式に疑惑解明を命じた。政府の対処次第で、CPIの阻止も可能だと見たらしい。
 政治的根回しは二十一日、関係者間で行われた。大統領は同日夜、週末休暇中の法相を急きょブラジリア空軍基地に呼び出し、政権要職の有無にかかわらず分け隔てのない徹底捜査を要請した。直後の二十二日早朝、大統領一行は訪日の途に着いた。法相は与党執行部や閣僚、要人の懐刀であることを酌量することなく、事実解明を行うと発表した。
 法相は捜査主任にラセルダ連警長官を指名した。与党政治家の傘下にあるIRBとECT内で多くの汚職行為が告発されている。ジェフェルソンPTB党首の汚職関与告発に続いて芋づる式に、保健省の血液製剤にまつわる告発などが続出している。
 郵便局汚職は、ロメウ・アモリンとフランシスコ・オンラットのロビイスト二人が主犯であると判明した。連警が数々の成果を挙げ、八十件の汚職告発のうち四十件の疑惑は真相が解明されたと、法相が発表した。「餅は餅屋に任せろ。捜査はCPIのやることではない」と法相は記者団に語った。
 野党幹部は、政府の小細工には乗らないと徹底抗戦の構えを崩していない。しかし、上院はCPI設置派の野党上議二十九人に対し、連立与党連合四十五人がカリェイロ上院議長の音頭で結束している。CPIを設置しても、数の力でウヤムヤにする魂胆らしい。
 CPI攻防戦は、CPI委員長と上程者の選出を野党が取れるかどうかにかかりそうだ。CPI設置が決定されたら、野党は独自の汚職調査網を公社全域と労働者党(PT)との癒着関係へ拡大すると警告した。調査結果は連警発表の程度に止まらず、政治的に波及を及ぼすという。
 汚職構造の中で懐を肥やしながら摘発されていない企業はまだ多数あり、PTとの関係を明るみに引き出す計画だ。郵便局汚職の主犯とみられるオノラットは、PT財務部長デルビオ・ソアレス氏の命令で保健省の取引を仲介したと連警の尋問で供述した。この取引にはコスタ保健相の側近二人が関与した。CPIが設置されれば、党員らによる一連のPT集金システムの全容が解明されるという。