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デカセギ検討会議発足へ=大統領訪日=首脳会談で対策協議=立ち寄るか愛知万博

5月24日(火)

 二十二日午前、韓国へ向かった大統領一行は二十六日午前中に訪日する。読売新聞二十二日付けによれば、日本政府は大統領訪日に合わせて、デカセギ問題に対応するために検討会議を発足させ、今年の夏にも第一回会合を開く予定だと報じた。二十日付けでは、小泉首相は大統領とデカセギによる犯罪増加対策も話し合うとも報じ、今回初めてデカセギ問題が政府レベルの課題として認識された。ブラジル・サイトによれば、大統領は名古屋で在日ブラジル人コミュニティのイベントに参加する。ただし、愛知万博視察は表明しておらず、地元日本人などから不満の声も出ているようだ。
 二十日付け読売新聞は、大統領は教育大臣と労働大臣を同行させ、日本政府と「日本で日系ブラジル人の若者による犯罪が増加する」ことについて対応策を協議すると報じた。ただし、二十三日現在、二十二日朝にブラジリアを出発した訪問団には両大臣とも加わっていない。
 大統領は十七日に日本人記者団と会見したおり、「日系人の若者がきちんとした仕事を手にし、教育や文化、スポーツにかかわる環境作りが必要」と語っており、日本就労者の労働環境とその子弟の教育問題に高い関心があり、日本側と突っ込んだ話合いをする意向を表明した。
 同紙二十二日付けでは、日本での生活になじめない日系ブラジル人が増加していることから、日本政府は専門家による「教育問題」と「医療保険問題」に関する検討会議を発足させ、対応策を協議する方針だと伝えた。小泉首相は二十六日に訪日する大統領にと会談した際に発表するという。
 教育問題では、日ポ両語を話せる「アドバイザー」を学校に配置する制度の拡充、医療保険問題では保険加入条件の緩和などが協議される見通し。
 これについて、ブラジリア日本国大使館筋は、検討会議に関して聞いていないとしながらも、「大統領は日系人に非常に関心を持っておられるので、首脳会談時に、在日ブラジル人の教育問題について意見交換する予定だ。トップレベルの会談でこのような問題が話しあわれるのは、おそらく初めてでは」との認識を示した。
 なお今回、実際に訪問団に加わった大臣はアモリン外務大臣、パロッシ財務大臣、フルラン産業開発大臣、ロドリゲス農務大臣、ジウマール鉱山動力大臣ら五人だった。予定されていた観光大臣、科学技術大臣、中銀総裁らはキャンセルした。
 ブラジル・サイト二十三日付けニュースによれば、大統領は二十八日に名古屋を訪れ、在日ブラジル人向け学校関係者、企業代表らと懇談する予定。「大統領が在外ブラジル人コミュニティと懇談するのは、かつてなかったこと。大統領の力の入れようが伝わってくるようだ」と地元関係者は期待している。
 同地では在日ブラジル人が主催する二つの展示会expoBUSINESSとRH expoJAPANも視察する予定。前者は八十社を超える在日ブラジル系コミュニティ企業が日本全国から参加する見本市で、後者は派遣会社やアウトソーシング企業が一同に会し、採用に向けた面接や登録を行うイベントだ。
 一方、日本の一部関係者からは「愛知まで行って、コミュニティのイベントには参加して、肝心の万博に寄らないのはいかがなものか」との声が挙がっている。同万博からパビリオン設置の要請が度々あったにも関わらず、ブラジル政府は出店しなかった経緯があり、寄るかどうか注目されている。