5月24日(火)
「三年後に控えた百周年を傍観することなく、ブラジル日系社会との関わりを自分たちの立場で考えたい」と「ブラジルを知る会」の清水裕美代表。同会は音楽や料理など文化を中心とした講演会を主催してきたが十七回目の今回、〃デカセギ〃をテーマにしたパネルディスカッション「海を越える人々―生活者の視点から見た出稼ぎ事情 繰り返される問い―」を企画した。
パネラーとして、宮尾進(元サンパウロ人文科学研究所長)、深沢正雪(ニッケイ新聞社編集長)、石井エリオ(映像作家)、加藤メイレ・キミエ(デカセギ経験者)、金子サンドラ(元JETプロジェクト派遣員)の五氏が参加。各氏十五分の講演後(石井氏はデカセギに行ったインタビューの映像)、観客参加型のパネルディスカッションへと移る。
コーディネーター兼司会を務める真砂ムツ子さんは、「ブラジルでお世話になった私たちが帰国後、別視点からの行動や情報発信で仲立ちできれば」と企画のきっかけを説明する。
「デカセギがテーマと聞いて、『今さら、何?』という印象を与えると思うけど、これからの日本で関わらざるを得ない問題では」と清水代表。
在日ブラジル人の犯罪、デカセギ子弟の教育、地域社会との軋轢、日本側の行政の不手際など様々な問題は多くの日系人の心を痛めている。
「実家が愛知」という会員の並木紋子さん。今年二カ月ほど帰国した際、「非常にブラジル人を身近に感じた。今後、何かボランティアができれば」と考えている。
「結論を出すのが目的ではなく、参加者全員が何らかの意識、何かできるという気持ち持つのが目的」。同会では、百周年に向け、これから半期に一度、同様の企画を実施していく考えだ。
三十一日午前十時から、国際交流基金の多目的ホール(Av.Paulisuta37 1andar,paraiso)で開かれる。参加費は五レアル。コーヒーやお菓子が用意される。詳しくは真砂(電話11・5572・4570)まで。