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コラム オーリャ!

 ブラジルのインディオ社会の実地調査をまとめた『悲しき熱帯』が刊行されて五十年がたった。 この人類学の古典を、二十二日付フォーリャ紙が特集を組んで再検証。日本を愛着してやまない著者レヴィ・ストロースがかつて、邦訳版に寄せた序文も転載していた。
 仏人ストロースは一九三五年、創設されて間もないサンパウロ大学に赴任しており、同書にはその思い出話もつづられている。カメラを得意とし、三〇年代の市街地を撮影した写真集もある。
 歴史散歩が好きな私の参考書だが、街の様子は激変している。今日ではありふれた、街中で物乞いするインディオ母子の「悲しき」光景など、写真集では見当たらない。
 文明に圧殺されていたインディオへの共感と、「野生の知」の復権が主張され半世紀。彼らの貧困を生む社会構造は悲惨さを増している。(大)

 05/5/24