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エタノール売り込みに慎重論=ルーラ大統領訪日=安定供給に不安=開発相と農相の間にあつれき

5月25日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十四日】韓国を訪問したルーラ大統領一行は、二十六日朝に専用機で成田空港に到着、小泉首相との会談に臨む。今回の訪日の最大目標の一つであるエタノール売り込みに手腕が注目されている。
 しかし、こうした押せ押せムードの中で、ブラジル政府内に慎重論が浮上してきている。慎重論の急先鋒は今回同行しているフルラン産業開発相で、数量と価格面で安定供給に不安があるとして早期の契約締結は時期尚早だと主張している。これに対し推進派のロドリゲス農務相とあつれきが生じていることは大統領も認めている。
 同開発相によると、日本では昨年八月、ガソリンにエタノールを三%混合することが許可されたことで、エタノールの年間消費量が十八億リットルに上るという。これに対し現段階で、この全量を競合価格のもとで安定供給するのはおぼつかないとしている。
 現に昨年九月に訪伯した小泉首相も、サンパウロ州奥地のサトウキビ畑を視察した際に感嘆しながらも、安定供給を一番気にかけていたことから、量の確保が第一だと同相は主張している。そのために現在、北東部に六万平米の畑開発を計画中で、それには一億五〇〇〇万ドルの融資が必要で、円借款を引き出すのが先決だとみている。しかし同開発相も農務相も、今回のエタノール売り込みは第一ステップの段階で、早期結論には至らないとの意見で一致している。
 いっぽう韓国で一行は、同国最大のポスコ製鉄所がマラニョン州へ進出する計画を再考する覚書を取り交した。この計画は昨年十一月、同国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が訪伯した際に打ち出されたものだが、その後ブラジルの税金が高すぎるという理由で断念し、インドへの進出を検討していた。ルーラ大統領は減税を盛り込んだ暫定令を発令したが、国会の承認を得るという難関を乗り切らねばならず前途多難といえる。
 大統領専用機は韓国までの二万キロ、二六時間に及ぶ飛行で、カナリア諸島とロシア領内で給油を余儀なくされた。機内で大統領は、パロッシ財務相、アモリン外相、ジウマ鉱山動力相、開発相、農務相と長時間の会議の後、封切りを控えた山崎チズカ監督の「ガイジン2」の映画を観覧した。さらにマリザ夫人との三十一回目の結婚記念日を祝った。