5月25日(水)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙一日】労働運動の研究者は、現在の労組は存在価値を失ったので原点に返れと叫ぶ。グロバリゼーションに沿った生産的な労組に生まれ変わるよう、構造改革を行えと提言した。労組は政府と資本家のイヌに成り果て、組織の崩壊と衰退が進行していると専門家はみている。
労組は十八世紀に政府と資本家に対抗して秘密裏にイギリスで誕生した。ブラジルの労組には、当時の名残が全くない。一七七〇年代の産業革命とともに労働運動も過激化し、ブラジルにも一七九〇年代にその流れが到達した。当時の労組は本物だった。
労組の弱体化は、ブラジルだけでなく世界的傾向らしい。世界の労組で最近、何が変化したのか。労働裁判事の見解では、かつての労組創立のイデオロギーを捨て、労働者の単なる補佐機関になりつつあるという。かつての労組指導者の覇気は、もはやない。
資金力にものをいわせた資本家の傍若無人な振る舞いに対抗する気力も、グロバリゼーションや市場開放の波に沿った労組改革の意欲もない。八〇年代の労働運動を二〇〇五年のそれに当てはめようとしている。
労組は資本家の強行策の歯止め役を担ってきた。それが、インフレによる目減りを交渉するだけが今日の労組の役割だ。ルーラ大統領とルイス・マリーニョの間柄は国家権力への癒着を示し、マリーニョは労働者の権利も、代表であることも忘れている。
企業は技術革新により必要となった人員削減を大幅に行うため、柔軟な労使関係を模索している。これは熟練工への依存縮小または排除、労働者の団結を骨抜きにしようとするもの。二十年の間に、非正規労働者が二五%から六〇%へ増え、労働者階級は変化した。
労組と組合員はバラバラになり、労組幹部は組合員のダニでしかない。労組は組合員にメーデー歌謡ショーを見せ、抽選券で住宅や乗用車を提供するだけだ。ブラブラ歩いて眺めるだけの労組ショッピングセンターになったのだ。
ブラジルの場合、労組の元締めであったルーラ大統領の政権獲得により労組の存在が薄くなった。労働者の代表であるはずの労働者党(PT)政権は、労組を生んだ仇ともいうべき最保守路線を踏襲した。これには労働者が面食らった。
金融資本の激しい移動が及ぼす労働市場への弊害に対して、時代の変化について行けない労組は何も提案できない。大統領は就任時、雇用創出と所得の向上だけでなく、労組法の改正から労組の構造改革も同時に行うべきだった。
また労組はPT政権から莫大な資金を供給されるので、労組の独立権限は口にすることもできない。この資金が労組を怠け者にした。また労働裁が労組の注文通りに全てを取り計らう。労組は労裁の脇で活動しているように振舞えばよいのだ。