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WTO新専務理事にレミー氏=農産物補助金制度はどうなる?

5月25日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十四日】政府が食指を動かした世界貿易機関(WTO)の新専務理事が十三日、先進国連合推薦のフランス人、パスカル・レミー氏に決まり、ブラジルの望みは絶たれた。レミー氏は過去五年間、EUの通商代表を務めた。
 EUの農産物補助金制度の擁護者として、ブラジルにとって煙たい存在であった。その執拗さとしたたかさはよく知られるところ。立場が変わった今、同氏が従来の路線にこだわるとは思えない。個人的には自由貿易推進論者である。
 先進国と途上国間の貿易障壁について、レミー氏ほど造脂の深い者はいない。欧米の代表者は先週、中国の繊維製品に対する輸入障壁について話し合った。レミー氏は欧米諸国が十年前から同問題を討議しながら無策であったと非難し、中国による繊維輸出の妥当性を主張した。
 ブラジル政府は、WTOを米国の御用機関と非難してきた。しかし、政府は考えを変えたようだ。WTOが前身のGATTを引き継いだ一九九四年、途上国の言い分にも耳を貸すようになったことを政府も認めている。
 ブラジルは過去四年間、WTOで数々の勝訴をものにしている。エンブラエルの対カナダ訴訟や綿の対米訴訟、砂糖の対EU訴訟など。ブラジルが提唱した途上国連合のG20が、WTOも先進国の傍若無人な態度にも歯止めをかけた。
 レミー氏の初仕事は、ドーハ・ラウンドと考えられる。先進諸国が五〇〇〇億ドルもつぎ込む農産物補助金制度の中止だ。この先進国による資金力で、途上国の農業は一網打尽である。一挙粉砕?しかし、WTO交渉は遅々として進まない。
 外務省は難攻不落の補助金制度を陥落させるため、ルイス・F・コレイア氏をWTO専務理事に送り込もうと企てた。そして悲劇的結末を迎えた。
 さらに悪いことに、外務省はカンクン会議でブラジルの上に汚物を垂れ流したウルグアイ人のカスチージョ氏を支援する羽目になった。レミー氏はアマゾン熱帯雨林の国際管理を提案、ブラジルの神経を逆撫でしたことがある。
 ロドリゲス農相は十三日、レミー氏のWTO専務理事就任を祝った。レミー氏はブラジルの友人であり、G20の設立では個人的に交渉の手法を指導してくれた人物だという。