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CPI阻止に最後の巻き返し=郵便局汚職=崖淵に立つ政府=与党の支持議員にアメとムチ=設置後は誘導作戦を展開

5月26日(木)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十五日】大詰めに入った郵便局汚職の議会調査委員会(CPI)設置を目前にして政府は二十四日、実弾戦術でCPI阻止の巻き返しを図ることを決定した。連立与党でCPI支持を翻意した議員の選挙地盤へ七億レアルを交付し、あくまで支持に固執する議員には役職剥奪と同盟関係の絶縁を警告した。二十四日に行われた支持票数の中間発表では、八十八下議と二十九上議の寝返りを二十五日深夜までに取り付けなければならない。
 上下両院の合同本会議は二十五日、郵便局汚職のCPI設置上程案を朗読する。大統領府は、CPI阻止の崖渕へ追い詰められた。渦中の人物フェルソン・ブラジル労働党(PTB)党首は悪くすれば、政府と労働者党(PT)を道連れにすることになりそうだ。
 ジルセウ官房長官とレベロ議会対策委員は、CPIによる疑惑の徹底解明を求めた、PTB党首の設置支持票を撤回することに成功した。PTBは党声明でCPI設置支持の撤回を発表し、十三人のPTB議員が翻意した。これをキッカケに、連立与党の流れも変わるとみられる。
 翻意組は、PT左派十九人の中から十人。進歩党(PP)から十人とブラジル民主運動党(PMDB)から二十人が寝返った。CPI設置に必要な支持票は、下院の百七十一票と上院の二十七票である。翻意組を差し引いて二十五日現在、二百五十八下議と五十一上議がCPI設置要求で対峙している。CPI阻止は、二十五日深夜までのカウントダウンに入った。
 大統領府は全閣僚と全与党幹部に召集令状を出し、国会内に巻き返し作戦総司令部を設置した。問題は総大将が一部閣僚を引き連れて、訪日のため不在であることだ。PT閣僚十九人は、官房長官が檄を飛ばした結団式に誰も参加しなかった。何とも気合の入らない最悪の結団式で、負け犬のムードが漂っていた。
 カリェイロ上院議長は、国家の発展を促す具体的な計画案策定を政府に求めた。無為無策だから肝心の経済成長がなおざりで、野党から突き上げられるのだと述べた。政権は病んだ状態で、微弱な病原菌にも煩わされている。国会議員は使命を忘れて政府揺さぶり合戦に明け暮れ、均衡感覚を失っているとした。
 外遊中のルーラ大統領は、汚職阻止に国民自身が参加する社会組織の形成を呼びかけた。新しい政治形態として政策決定に国民が参加し、国民の声を反映する政治システムの採用をグローバル・フォーラムで提案した。
 政府は最終手段として、CPIの調査範囲を制限するBプランを用意している。CPI委員会メンバーは与党議員ばかりでなく連立与党も含めて、PTに有利な方向へ誘導作戦が展開できる専門家議員を選ぶ。連立与党議員の中には、アビ・アケル下議やネリオ・ヂアス下議など横紙破り議員が候補に上がっている。
 CPIメンバーは、十五人からなる。検察庁OBのベテランで壮々たる強者らが、PT政権興廃の一戦に刃を連ねそうだ。与党は、郵便局汚職をあくまでも郵便局内の事件に止める作戦。郵便局から政府攻撃へ砲口を移動するなら、直ちにCPI中断で手を打つらしい。