5月26日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十五日】二十六日から二十八日までの公式日程で日本を訪れているルーラ大統領一行は、二〇億ドルに上る商談に調印すると予想されている。ヴィラウヴァ駐日大使が明らかにしたもので、これまでの日本側の見積りの一七億ドルを上回る予想となっている。しかしブラジル政府が期待したものとは程遠く、大統領は不満を抱いて帰国するだろうと大使はみている。
これまでに具体的商談として検討され、調印の可能性があるのは十三件と言われている。これらは二十七日に行われる「ブラジル―日本セミナー」が終了した後に調印の運びとなる。セミナーには、訪日しているブラジル企業関係者二六〇人を含む七〇〇人が出席する予定。
これら商談のうち、六件がペトロブラス(石油公社)とヴァレ・ド・リオドーセで占められ、かつ合意に達しているのは二件のみ。一件はペトロブラスの老朽化したヴァレ・ド・パライバ(レヴァピ)製油所の重油精製設備を近代化するための、九億ドルに及ぶ業務協力協定で、日本側は国際協力(JBIC)、三井住友銀行のほか、三井物産、伊藤忠、ネクシなどの企業グループが融資に参加する。
あとの一件はエテスコと三菱商事が約四億ドルを投入して石油やガスのパイプを製造して陸上輸送を整備する。このほか輸出振興のためのインフラ整備に向けて、社会経済開発銀行(BNDES)が国際協力銀行との間で五億ドルの融資契約をする予定となっている。
最大の関心事であるエタノールについてルーラ大統領は、安定供給と国内業者との価格のすり合わせに不安材料があるとして、具体商談は行わずアピールするにとどめる姿勢へと変化を見せている。今回の韓国訪問でも新エネルギーとして注目され、韓国側技術ミッションが訪伯を決めたことも不安感を増したものと見られている。いっぽうで日本側は、ブラジルのエタノールの積出、備蓄設備および日本の配給など課題が多く、実際の輸入は三年後になるとの見方をしている。
今回の韓国訪問でも具体的商談はなかったものの、ルーラ大統領は根気よく関係者に投資を呼びかけ、精力的だった。戦没兵士の慰霊碑に献花した際、少女から手渡された手袋をはめたが小指が入らず、何も知らない少女をびっくりさせた。実は金属工時代に機械にはさまれて左手の小指を切断したもの。手袋の余った小指の部分を振り回し、茶目っ気を出して笑いを誘った。