5月28日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十七日】日本訪問中のルーラ大統領は二十六日、国際協力銀行を始めとする主力銀行代表十七人の朝食会に招かれ、投資基準の明確化と法的保障、長期的な経済安定対策を投資の前提条件として求められた。特に投資の法的保証は必須とされた。ブラジルのインフラ整備のための官民合資計画(PPPs)は、大統領の投資要請呼びかけよりも、銀行代表団による投資基準の徹底管理要求の方に押され気味だった。
大統領は二十六日午前九時(日本時間)に羽田空港へ到着早々、CPI(議会調査委員会)の設置阻止で与党敗北の報を受け、気分が重くなった。しかし気持ちを奮い立たせ、国会の表敬訪問を行った。首相官邸前で、随行していたアウブケルケ下議(ブラジル社会党=PSB)とカンポス上議(ブラジル社会民主党=PSDB)がCPIを巡って口論を始めるハプニングがあった。
日本側銀行団は、大統領要請の投資について法的保証の明確化と経済の安定を討論の中心に置いた。これがブラジルへの長期投資の前提条件だとし、投資基準の曖昧さに切り込んだ。日本側の質問には、メイレーレス中央銀行総裁とロドリゲス農相が対応した。両氏は銀行団の投資意欲に手応えを感じた。
国会への表敬訪問で日本の慣例に従い、扇千景参院議長がレチシア大統領夫人をアモリン外相の後部席に案内した。大統領は習慣の相違と黙認した。表敬訪問が終わり、大統領随行の閣僚らは参院脇口から退場。大統領夫人は参院本会議場の真ん中通路を大統領の後を追って退場した。
日本政府はブラジルの国賓に対し失礼だと、閣僚らは不満の様子だった。会場の国旗設置も雑で、いかにも蔑視の感があったという。大統領夫人がコケにされた経験は二度目となる。フアン・スペイン国王は前回、丁重に謝罪した。
小泉首相と大統領の首脳会談は終盤で盛り上がったと、ロドリゲス農相がエタノールに対する日本の反応に感激した。ガソリンへのアルコール混入は、国際的エネルギー対策の焦点になっていると大統領は呼びかけた。ブラジルのエタノール生産プロジェクトで、日本の投資が起爆剤となることを期待すると訴えた。エタノール生産分野には、ペトロブラスも本格進出する。
小泉首相は二〇〇五年中に日本経済ミッションをブラジルに派遣すると約束した。国際協力銀行のインフラ融資と官民合資計画(PPPs)への日本側からの参加の可能性を小泉首相が示唆した。食品関係ではマンゴーの輸入許可に続き、五月中にも衛生技官二人を派遣して、ブラジル産果物の日本への輸入を模索するようだ。
日本政府要人を招き、大統領主催の焼き肉パーティーが催された。これは牛肉輸出のロビー活動よりも、効果があったようだ。日本はブラジル産牛肉輸入の門戸を閉ざしている。小泉首相は昨年九月に訪伯したとき、イタマラチー宮で試食した高級ヒレ肉を思い出し善処を約した。今回の訪日成果としては、ペトロブラスやヴァーレ・ド・リオドーセなどと調印される二十億ドル以上の融資契約が挙げられている。