6月1日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙三十一日】中央銀行は三十日、緊縮財政とレアル通貨の五%高騰で、四月の財政黒字が過去最高の一六三億レアルに達したと発表した。支払い金利一三三億レアルを決済しても、三〇億レアルが繰り越される公算となった。四月の財政収支は所得税収入が一四億レアル、さらに政府機関の支出が一七億レアル倹約された。公共債務は国内総生産(GDP)比五〇・一%へ低下し、二〇〇一年四月の水準に達した。
連邦政府と州、市、公社などを含めた財政収支の月間黒字は、過去最高を記録。この快挙により国家財政は、実質はともかく名目だけは健全財政の称号を貰ったようだ。中銀が一九九一年に財政黒字に向けた努力を始めて以来、この称号を貰うことは稀だった。
〇三年四月に財政黒字が過去最高に達したとき、黒字額は三五億レアルだった。それ以後は二〇億レアル以下で低迷した。今年四月は労働者党(PT)政権発足後の過去二年間に高騰したレアル通貨が、財政黒字に貢献した。支払い金利が減少したばかりでなく、政府歳出も縮小した。人件費や経常費、公共事業投資を大幅カットし、歳入面では情容赦なく税を絞り取った。
四月は国庫の収穫期のようなもの。所得税の一四億レアルを始め連邦カイシャ・エコノミカや社会経済開発銀行(BNDES)が、第1・四半期の営業益一一億レアルを国庫へ振り込む。他に、原油の採掘収益や地方自治体が徴収した連邦政府の権益収入が一一億レアル以上ある。公共投資削減と政府の経費カットで、一七億レアルが浮いている。
いっぽう政府の公共債務は〇五年末にGDPの五一・三%に抑える予定。これは〇四年末の五一・六%にほぼ匹敵するが、引き締め努力よりも、ドル安のお陰といえる。中銀の三十日発表によれば、〇五年の平均基本金利は年利一九・一%。ドル通貨は年末に一ドル二・七〇レアル。経済成長率は三・五%としている。
〇四年九月以来の金利続騰は、公共債務削減には最大の妨げとなり、財政緊縮努力の多くが無に帰した。基本金利(SELIC)を一%引き上げる毎に、公共債務は年間六十三億レアル増える。公共債務の半分以上は、SELICを引き上げられる毎に自動的に価値修正される。
〇五年に入ってSELICは二%引き上げられ、財政黒字一六三億レアルの八〇%が吹き飛んだ計算だ。SELICが上昇を始めた〇四年九月から起算すると、三・七五%の上昇となり、二三六億レアルの公共債務が一年で増えた勘定。
四月はレアル通貨の五%高騰で、公共債務が七三億レアル減った。これは国内で調達したドル建て債務と外国で調達した債務のレアル切り換えに、大きく影響を及ぼした。
ドル安レアル高がさらに続けば、〇五年末はGDPに対する債務比率が四九・八%に減る見込み。政府要人の発言を聞いていると、GDPに対する債務率の削減が目立つ。同時にカントリーリスクの低下が至上命題のようだ。このような環境で中銀に対する風当たりは強く、通貨政策委員会の中でも不協和音が聞かれる。