6月1日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十三日】中央銀行総裁に対する捜査開始と資産開示は、ルーラ政権に対する政治的圧力の新たなタネになる。総裁周辺の動きが金融市場と経済政策に及ぼす影響については、まだ予測できない。しかし、中銀総裁の地位が不安定になることで、総裁の政治的影響低下は否めない。
最高裁のメーロ判事は予想通り、検事総長の捜査許可の申請を認めた。捜査は六十日の期限を切られ、検事総長の任期は六月で終わる。これは現検事総長の任期終了前に、ルーラ大統領が新検事総長を任命することを意味している。
現検事総長の留任はない。次期検事総長は現検事総長から捜査報告書を受け取り、自らの手で最高裁へ手渡す。最高裁はその後、メイレーレス総裁を起訴するか取り下げるかを決めるシナリオだ。
大統領はあらゆる手段を講じ、総裁を守ると宣言した。犯罪の立件から最終判決、総裁の閣僚扱い、最高裁の特別法廷と、総裁の擁護には大統領府が幾重にも防衛線を張った。しかし、同総裁はどこまで政治的庇護を受けられるのか。
総裁が足元をすくわれる心配はないか。総裁は〇二年、ブラジル社会民主党(PSDB)ゴイアス支部から下議に当選した。その後、中銀総裁に指名された。ここで下議を辞任しただけでなく、PSDBも離党している。
同総裁は〇六年、ゴイアス州知事に立候補するらしい。どの党から立候補するか定かではない。現ゴイアス州知事はPSDBに所属し、PSDBの立候補者を支持するらしい。しかし、総裁がPSDB復帰を画策する可能性はある。
総裁は〇六年の選挙に立候補するため九月三十日まで、いずれかの党に所属しなければならない。政治家は公職を辞し、立候補資格を得るため一年間党員となる。しかし、中銀の場合は辞任する義務がない。
中銀総裁や通貨委員会委員長などの微妙な要職に就く者が、どこまで政治的支援を得られ、検察庁の矛先を避けられるか。政府与党またはPSDBが守ってくれるかどうかは分からない。結論からいうなら、政治は水物である。