6月1日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十二日】労働高等裁判所(TST)は十六日、社員による会社のコンピューター私的使用を禁じた。私的使用は、解雇の至当な理由になる。あなたはこれから、コンピューターによって会社に監視されるようになることをご存知か。
ある銀行の行員が銀行のコンピューターで、友人にEメールを送った。その内容が、銀行にとって不都合であったという。銀行員は、正当解雇とされ一切の権利を失った。行員は労働高等裁へ上訴し、TSTから棄却された。
TST判決には、会社は社員が送受信するEメールの内容開封を是と明記してある。これは、社員のプライバシー侵害に当たらないという裁判所の見解だ。会社のコンピューターを私的使用したことが、越権行為になるというのだ。
送受信内容が会社の利害に抵触しなくても、長時間にわたり私用でコンピューターを操作したら、正当解雇の理由になることも含まれている。さらにコンピューターに限らず電話や車両など会社の道具を長時間私用に使ったら正当解雇の理由になる。
労組は会社が各社員に一台づつコンピューターを提供した場合、ハードは会社に属するがソフトは個人のものという見方だ。ハードを通して展開されるバーチャル・スペースは誰の所有か。そのための会社規定がないなら、正当解雇にならないという見解もある。
TST判決に関し中銀の見解は、例え銀行が大損害を被っても訓戒処分が妥当で解雇は不当だという。TST判決は、国民の監視体制が確立している英国の判例を導入したようだ。この判例が認められるなら、上司のサジ加減で部下の首が飛ぶようになる。