日本と中国との関係は「政治は冷たく経済は熱い」状態だという。略して「政冷経熱」といった表現をする。小泉首相の靖国神社参拝を、日本の財界関係者の一部が「やめたほうがいい」と言ったりする。せっかくうまくいっている経済のほうの対中関係を悪化させる恐れがあるから、というのだ。経済のほうが本当にうまくいっているのかどうかは別にして、中国との関係がぎくしゃくしているのは確かだ▼日本とブラジルの関係はどうか。総体的に冷たくはない。冷たくなる要素もまた見当たらない。ただ、三十年ほど前激しかった「人、モノの動き」が相当減っているのは事実だ▼日本側報道によれば、今回、ルーラ大統領が訪日して、製油所改修、バイオ燃料輸出、国際協力銀行によるエネルギー分野への融資、温暖化防止での協定話で一応の成果があったという▼もう一方で、デカセギ子女の教育問題、特に児童・生徒の不就学打開に幾分期待が持てるようになるかもしれない。いわゆる行政がもっと噛んでくれることへの期待だ。やる気が見える。明らかにルーラ大統領訪日の効果である。小泉首相とサシで話し合い、社会保障問題も含めて、日伯両国の専門家、実務者が協議することで合意が成った▼小泉さんは、昨年訪伯して、かなりの「知伯親伯」になったと思える。平均的な日本人より「はるかに」といってもよかろう。より多くの日本人が、小泉さんのようだと、「移民百年」にもさらに多くの関心が寄せられるだろう。(神)
05/6/1