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5月の輸出、過去最高に=逆風の中の好成績=企業努力の成果表れる

6月3日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二日】ドル安や高金利の向かい風にさらされているにもかかわらず、五月度の輸出は九八億一〇〇〇万ドルに達し、単月での史上最高を記録した。一方、輸入はドル安が追い風となり、六三億六〇〇〇万ドルと、これまた史上最高となった。このため貿易黒字は四月の三八億ドル強を下回る三四億五〇〇〇万ドルに終わった。しかし今年の累計では一五六億四六〇〇万ドルとなり、順調な推移を見せている。
 輸出は主要産品の大豆が二六・六%減、航空機が四一・六%減、さらに今や三番目の仕向地に成長した中国市場の二六・二%減という悪状況下でも前月比二三・六%の増加となった。この原因として新しい市場への輸出が伸びたことが挙げられる。例えば東ヨーロッパ向は一一三・三%、アフリカ向は五二・七%の伸びとなった。また国際相場が高騰した産品も多く見られ、ドル安をはね返す原動力になった。貿易局内では、長びくドル安や高金利で輸出企業がコストダウンなどの努力を重ね、企業体質を強化した成果だとみている。
 輸入は昨年五月比三一・八%増の六三億六七〇〇万ドルで過去最高となった。原油が四五%増、資本材が三三%増となり、足を引張った形となったが、五〇%以上が原材料で、企業のコストダウンに貢献しているため、輸入増は止むなしとの見方が強い。今年三カ月間の国内総生産(GDP)の成長率がわずか〇・三%で、気落ちしていたルーラ大統領とパロッシ財務相は今回の朗報に接して元気を取戻し、談話のトーンも上がった。
 大統領はGDPの成長にブレーキがかかったのは一時的現象で、年内目標は達成できるとして、輸出が好調に推移しているのがその証拠だと強調した。さらに以前は輸出が増えると国内への供給が不足していたが、現在両立しているのは企業の生産性が上がったからだとの見解を示した。
 パロッシ財務相はドル安に対し、フローティング相場(外為変動相場)である以上、それに対応しなければならぬとし、基本的に中銀が介入することはないとの見方をしている。ただし中銀の外貨準備が不足しているため、ドルの買増に出る可能性があることを示唆した。いっぽうで金利については、インフレ抑制のために現行政策を当面変更するつもりはないと断言した。