リオ州立大学地質学部岩石鉱物科の学部長の元木昭寿さんによる一九五〇年代の話。ブラジルで最初のウラン鉱山を発見した人は、日系人のウツミ・オサムという人だ。鉱山名はそのまま〝オサム・ウツミ〟になった。
製錬所に行くまではポッソス・デ・カウダス市を通らなくてはいけない。しかし、ウランは放射性物資を含むため、同市市長がこれに反対。条件をつきつけた。一、鉱山名を〝カウダス〟にする、二、鉱山で働く人を全てカウダス市民にする、三、カウダスからメインロードに繋がる道を作ること。その条件を呑みこんだ。
以来、ブラジルはウランの乏しい国から豊かな国に。ウツミ氏は鉱山をつくりたいという夢の実現を見ずに亡くなったが、ここにも日系人の功績がひとつあった。 (南)
05/6/4