6月8日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙七日】サンパウロ州連警はサントス市で六日、同市を根城として暗躍していた麻薬組織団五十人を逮捕した。その中にサッカーの神様ことペレ―元選手の長男で、サントスチームのゴールキーパーを務めた通称エジーニョ元選手(34)が含まれていたことで、サッカー界のみならずスポーツ関係者に衝撃が走った。
エジーニョ元選手は有罪が確定すると三年から八年の禁固刑となる。ペレ―元選手は弁護士を通じ、「何らかの手違いだろう」とした上で「取調べで無実が証明される」との談話を発表した。弁護士団は証拠不十分で即時釈放を求める手続きを開始した。
連警は八カ月にわたる内偵を経て組織の全貌を解明し、八十人の捜査員を動員して同市を始め隣接の市の各所でアジトを急襲し五十人を逮捕した。首領の通称ナウジーニョ容疑者はサンパウロ州きっての麻薬取扱人としてマークされていた。連警は裁判所の許可を取り関係者全員の電話盗聴、張り込みをして撮影された写真やビデオで立件した。内容は明らかにされていないが、中にはエジーニョ元選手とナウジーニョ容疑者の取引の模様もあるという。
逮捕者はそれぞれ役割が分担されており、コロンビア革命軍(FARC)との交渉役(コロンビアからの麻薬密輸)、資金洗浄係、各地域の販売責任者、リオデジャネイロ市への配達人に加え、首都第一コマンド(PCC)やコマンド・ヴェルメーリョ(CV)の犯罪組織の橋渡し役も含まれており、大がかりな組織を形成していた。
連警は二十二カ所で家宅捜査を行い、エジーニョ元選手のホンダ車を含む二十台の自家用車を押収した。このうちナウジーニョ容疑者の二台の車から七キロのコカインが発見された。同容疑者は十五件の殺人事件に関与していると見られており、連警では合わせて追及していく。
エジーニョ元選手は一九九二年に同市内の暴走車レースに参加し、通行人をはねて死亡させたとして禁固六年(執行猶予付)の判決を受けている。その後二審では証拠不十分で無罪判決となったものの、検察側が上告して係争中。
同元選手は九九年までにサンカエターノ、ポルトゲーザ・サンチスタ、ポンチ・プレタなどのチームを経てサントスチームのゴールキーパーのレギュラーとして活躍した。試合出場は百九十七を数えた。引退後は父親のペレー元選手が経営するサッカー関連事業に携わっていた。