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汚職疑惑の管理職全員更迭=業を煮やした大統領=CPIは設置へ戦略転換=裏金告発にも攻めの姿勢

6月9日(木)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】政治危機収拾のためルーラ大統領は七日、郵便局と再保険院(IRB)の汚職疑惑に関与した全管理職を更迭するよう命じた。また郵便局汚職の議会調査委員会(CPI)で政府は、CPI阻止から設置へ方向転換し、労働者党(PT)内の綱紀粛正と共に、これまでの防御態勢から攻撃態勢へと戦略変更を行う。大統領は「肉を切らせて骨を断つ」と声明を発表。裏金支給のPT財務担当も、告発に対する声明を発表する。
 裏金支給の告発により苦汁の一夜を過ごした大統領は、戦略変更で起死回生に賭けるらしい。第四回汚職対策フォーラムで大統領は「肉を切らせて骨を断つ」と獅子吼し、ブラジル労働党(PTB)党首の人質ではないことを訴えた。野党のCPI攻勢による政局撹乱に対し、防御から攻撃へ戦略を転換するようPTへ呼びかけた。
 大統領府の鈍感な対応と技量不足に業を煮やした大統領は、二公社で疑惑に関与した全管理職の交代を命じた。六日のPT声明はPTB党首になめられる内容の腰抜け声明で、ソアレスPT財務担当の裏金支給に対する党の対応は、想像を絶する愚行とジェノイーノPT党首を叱責した。
 党声明は、熱気に溢れるものでないとバカにされる。一連の告発は政府に対するものではなく、弱気の党に対する挑戦状であると党首は油を絞られた。PT党首は七日、ジェファーソン談話は根拠と真実性に乏しく奇妙な内容であると記者団に述べた。裏金支給については党方針で口外を禁じていたが、財務担当から説明があると報告した。
 CPI阻止から設置へ転換した党方針で、郵便局汚職CPIに続き裏金CPIも、各議員の判断に任せることになった。野党は、政府の戦略変更が臭いものに蓋をするだけと見ている。郵便局から全管理職を解任しても、別の灰色管理職が汚職システムを継続し、実体は変わらないとした。
 PTでは、大統領へ内閣改造の実施を要請する意見が多い。限界にある政府債務の決済で、内閣改造の早期実施が求められている。
メイレーレス中央銀行総裁とジュカー社会保障相が、まず対象になるらしい。
 パロッシ財務相は、IRBのアポロニオ総裁の後任としてリスボア元政策局長官を次期総裁に指名した。IRBがPTBのドル箱に利用されたことで、同元長官の起用は政治的立場を中立化し、その後民営化する狙いがあるようだ。
 郵便局汚職への集中攻撃も一段落し全管理職は七日、辞任した。郵便局幹部らは、オリベイラ通信相(ブラジル民主運動党=PMDB)配下のソウザ局長とPTやPTBから指名されたメンバーだった。
 一方、裏金支給で渦中の人となったデルビオ・ソアレスPT財務担当は、大統領弾劾の引き金になりそうなことで辞任に向け政府の圧力を受けている。また同財務担当の辞任要請は、裏金支給を党が認める結果になるという見方もある。本人は裏金告発を事実無根とし、PTB党首を告訴するとしている。エロイザ上議は、ソアレス氏もジニス氏もPTの指令で動いた下郎の首だという。