6月10日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙九日】連邦議会は九日午後、郵便局汚職の議会調査で上下両院の合同委員会(CPI)設置の段取りを終えた。野党は同CPIで、ジェフェルソン・ブラジル労働党(PTB)党首が告発したソアレス労働者党(PT)財務担当による月三万レアルの裏金支給についても審議を行おうとしている。CPIは三十二人の上下両院議員によって構成され、十九人の与党議員と十三人の野党議員からなる。CPI委員長と上程者、執行委員長は、表決に付す。CPIの調査期間は百八十日と決まった。
三週間にわたるCPI設置攻防戦は九日、ようやく手続きを完了、設置の運びとなった。ルーラ大統領の悩みは、CPI攻防戦で与党に戦略の妙案がないこと。連立与党内にも策略に長けた一騎当千の勇士がいない。カリェイロ上院議長は与党へ有利にCPIの議事進行を図るため、CPI委員長と上程者、執行委員長の三人をPTから指名する特典を与えた。
大統領府にとっては初めての経験で、各委員の役目が何をどうするのか分かっていない。政界ではPTはまだ世間知らずと言えそうだ。PTとブラジル民主運動党(PMDB)の幹部らは九日早朝、すでに戦争の火ぶたが切り落とされたのに、戦争のやり方を勉強する段階にあると述べた。連戦連勝の騎士は、野党にいるようだ。
郵便局汚職の背後に裏金疑惑があり、進歩党(PP)と自由党(PL)に続きPMDBも射程内にある。連立与党の足並みはそろっていない。しかも連立与党はCPI阻止工作でことごとく敗走し、自信喪失に陥っている。裏金疑惑へ捜査の手が伸びれば、次は公社全体へ火が広がることが予想される。
議員買収のための裏金疑惑を調査するCPIの設置でも、野党は必要支持要数をすでに集めた。与党がCPI三役獲得で強行手段に訴えるならば、野党は九日にも裏金CPI設置申請で第二弾を打ち込む予定でいる。裏金CPIは、与党の出方次第で野党の懐の中から出てくる。野党第二の切り札だ。
裏金疑惑に関与したのは下議であり、上議ではない。上院が下院を取り調べるいわれはないと、与党では裏金CPI対策は取られていない。野党は下議であろうと上議であろうと、CPIは上院が全議員に対し捜査権限があるという。野党は勢いに乗って、裏金CPIも上下両院の合同委員会に持ち込む考えでいる。
ペレス上議(民主労働党=PDT)は上院本会議で八日、大統領はろくでなしを連立与党に招き、友人を吟味しなかったと評した。「豚を友に選ぶなら、一緒にふすまを食うべき」だという。他にもアントニオ・C・ギマランエス上議など多数が、PTの弱みに付け込み食い物にしているとした。スプリシ上議(PT)が本来のPT議員であると反省を促した。
話題の人デルービオ・ソアレスPT財務担当は八日、初めて公の席に顔を出した。同担当は裏金支給の主犯のように扱われているが、PTの金庫番として自分の意志では一銭たりとも使ったことはないという。PTへ入党して三十年になるが、未だ貧乏世帯で政権の余禄に預かったことはないと訥弁ぶりを披露した。