6月10日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙九日】今年に入っての三カ月間で国内総生産(GDP)の成長率がわずか〇・三%となったことを受けて、関係筋は今年の予測の下方修正を余儀なくされた。さらに度重なる汚職事件の摘発やスキャンダルが明るみに出たことで、政府はその対応に大わらわで経済政策に本腰が入らないことが危惧されている。またこれにより内外の投資がストップする懸念も表面化しており、経済の先行きは灰色の暗雲が立ちこめている。
応用経済研究所(IPEA)ではGDP成長率を当初の三・五%から二・八%へと下方修正した。第1・四半期の〇・三%という鈍足成長に加え、高金利、一般消費の低迷、投資の減少などの不安要素が原因だと指摘している。ほかの金融機関やアナリストの平均は当初三・二七%だったが、ここにきてイタウ銀行が二・六%、MBアナリストが二・八%へと修正した。IPEAの項目別による修正予想は軒並み下がっている。上げを見せたのは政府支出、インフレ、金利などのマイナス要因で、貿易黒字が唯一ポジティブとなっている。
それによると、政府支出は当初の〇・七%から一%へ、一般消費は四・三%から三・八%、投資は八・三%から四・八%、輸出(サービスおよび資本財)が一〇・二%から九・四%、輸入(同)が一八・九%から一六・六%、工業生産が四・六%から三・六%、インフレ(広範囲消費者物価指数)が五・四%から六・三%、貿易黒字が二七七億ドルから三五三億ドル、ドル相場(第4・四半期)が二・七九レアルから二・六五レアル、基本金利(同)が一七・四%から一九・二%となっている。
投資についてはGDPに占める割合が昨年は一九・六%だったが、今年の今回の修正でも二一・四%と上昇、一九九〇年以来の最高水準となっている。しかし政界疑惑が長びくと投資家の不信を招くことになり、投資が減少する可能性が強く、経済に支障をきたすと警告している。
金利については下半期に入ってから引き上げは止り、年末までに一九%台になると見ている。中銀はインフレ抑制を至上命令としており、インフレ高での経済成長は無に等しいとの態度を維持しているが、それはそれで理にかなっているものの、広い視野でのインフレ対策も講じるべきだと指摘している。