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深刻な経済成長減速=世界平均の半分以下=高金利と失業の解決急げ=年5%以上は成長必要

6月10日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙三日】今年三カ月間の国内総生産(GDP)の成長率がわずか〇・三%と減速スタートとなったことで、先行き不安が浮き彫りとなった。世界十三カ国の平均が〇・七%であることから、ブラジルの減速経済は深刻な様相を呈している。最大の原因は九カ月間連続して切り上げられた基本金利の上昇で、抜本的な経済政策を迫る声が高まっている。関係筋は最低年五%の成長が一流国の仲間入りの条件だとして、現在好調に推移している輸出の伸びを追い風として加速しなければ、チャンスを失うことになると警告している。
 ブラジル地理統計院(IBGE)が三十一日に発表した今年三カ月間のGDP経済成長が昨年十月~十二月対比〇・三%増にとどまったことを受けて、コンサルタントのGRCヴィジョンが世界十三カ国との比較を行った。
 それによると、世界平均は〇・七%、これに満たない国は七カ国で、ブラジルは下位から五番目に位置した。最低はイタリア(マイナス〇・五%)で、順にオランダ(マイナス〇・一%)、ベルギー(〇%)、フランス(〇・二%)、ブラジル(〇・三%)、メキシコ(〇・四%)、イギリス(〇・五%)と並び、平均以上はスペイン(〇・九%)、アメリカ(〇・九%)、ドイツ(一%)、日本(一・三%)、チリ(一・四%)、最高はギリシアが群を抜いて二・五%と驚異的な数字を示した。
 これら十三カ国はデータがそろっていたため比較できたが、最近とみに発展が著しい中国とインドはデータが未公開なため明らかにされていない。しかし昨年一月~三月は、中国が九・四%、インドが推定七・五%の成長を見せたのに対し、ブラジルは二・九%だったことから、今年は益々水を開けられたと見られている。
 カリブ・ラテンアメリカ経済コミッション(CEPAL)によると、ラ米全体の経済成長率は二〇〇三年が一・九%、〇四年が五・五%だったのに対し、ブラジルはそれぞれ〇・五%、四・九%となり、今年の予想は四%としている。この予想は十二月に発表されたもので、今回のIBGE発表により、下方修正を余儀なくされるとの見方をしている。GRCでは今年のブラジルの成長をこれまでの三・五%から三・一%へと修正した。
 ドイツとスペインはそれぞれ一・〇%、〇・九%と世界平均以上の成長を見せたが、リセッションの危機に直面している。ドイツのエコノミック・リサーチ院によると、ユーロ高による世界市場での競争力低下と労働力不足で赤信号が灯っているという。世界経済を天気図に例えると、中近東の石油産油国が快晴で、アメリカ、オセアニア、東ヨーロッパが晴れとなっている。晴れ時々曇はラテン・アメリカ、アジア、アフリカで、雨はドイツ、スペイン、フランスなどの西ヨーロッパに分布されるという。
 ブラジルは輸出入が好調で、世界市場で競争できる基盤があることから、高金利と失業を改善すれば快晴に向かうとされ、アメリカは短期的に財政赤字が減少せず、アジア諸国は安定経済を持続するとの見方を示している。