6月10日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙五日】生まれてきた赤ん坊の命名に新しい風潮が出てきている。もはやジョンやマリアの時代は去り、テレビタレントなどの有名人の名前が多くなった。また外国人の名前も増え、これまでブラジルでは禁句となっていた〃K〃や〃Y〃(〃C〃と〃I〃に置き換えられていた)の使用も急増した。また発音されない〃H〃を付けて国際的なものに見せかける例もある。
関係機関が四月二十五日から三十日の間にサンパウロ市内の五十八カ所の登記所で出生登録を済ませた四千百八十五人の新生児の名前を調べた結果、男児ではガブリエルとグスターヴォがともに九十六人でトップ、以下ギリェルメ(八十六)、マテウス(六十八)、ヴィトル(六十六)、ルカス(六十二)、フェリッペ(五十二)、カウア(四十八)、ヴィニシウス(四十五)、ペドロ・エンリケ(四十二)、ジョン・ヴィトル(四十一)、ラファエル(四十一)、カイーケ(三十七)、ニコラス(三十六)、ライアン(三十一)以上が上位十五番だった。
女児ではジューリア(八十八)、ジオヴァンナ(八十〇)、マリア・エドアルダ(五十四)、イザベラ(五十二)、ガブリエラ(四十三)、ヤスミン(四十一)、ビアンカ(三十九)、レティシア(三十九)、ニコレ(三十七)、エミリー(三十六)、ベアトリス(三十四)、ラリサ(三十四)、ヴィトリア(三十四)、イザベレ(二十九)、ガブリエレ(二十六)の順となった。
外国の名前が増えたことで国際感覚の浸透かと思うと、そうではないことが研究で明らかにされた。英語名が急増したのは外国や外国人との接触がない貧困層に多い。サンパウロ市の貧困地区の一つエルメリノ・マタラゾ地区では八三人の登録のうち〃K〃と〃Y〃を使用した人が二十三人に上った。いっぽうで、富裕階層の多いパルケ・イビラプエラ地区では六十一人のうちわずか二人で、残りは従来からのブラジル名だった。
命名にはテレビの影響が大きい。ブライアンという名を我が子につけた若い夫婦は、アメリカのテレビドラマで格好が良かったとの理由で、親戚の反対を押し切った。カウアやカイキもタレントの名で、女子のヤスミンあるいはジャスミンは六位にランクされたが、トップモデルの名前だ。カミリイ・ビトリアも元ダンサーでタレントのカルラ・ペレスの子供の名だった。 ブラジルは移民の国だけに出身国の名前を多用するのも急増してきた。このため男子ライアン(RYAN)やニコラス(NICHOLAS)がランキング入りし、女子ではニコレ(NICHOLE)とエミリー(EMILY)が急増した。日本語名と思われるカヨ(KAYO)も従来のリストに無かったことで特筆されているが、日本ではポプュラーな名前だ。一昔前には、これをブラジル語で表記するとCAIOとなり、男子の名前となった。