6月14日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十三日】政治危機回避のためルーラ大統領は十二日、ジルセウ官房長官の去就の検討を始めた。官房長官は、大幅な内閣改造を条件に進退伺いを提出した。ジェフェルソン・ブラジル労働党(PTB)党首の裏金告発で、官房長官と裏金管理人の異名をもらったソアレス労働者党(PT)財務担当が窮地に追い込まれた。官房長官の後任には、ヴィアナ・アクレ州知事が有力視されている。大統領は十三日、所信を表明する。
大統領は官房長官が、閣外へ去った場合の事後処理について調整に入った。会談はグランジャ・トルトで、大統領と官房長官、ジェノイーノPT党首の三人で行われた。PTB党首による、支持票買収のための裏金告発で官房長官の留任は、困難視されるに至った。
一連のスキャンダルの責任を取って官房長官が辞任したと思われないように、大統領は大幅な内閣改造でインパクトを相殺する考えのようだ。PT所属の閣僚は全員、辞表を提出するものと思われる。大統領は、新閣僚に向こうすねに傷のない者をと言っている。
内閣改造を提案したのはレベロ政調会長で、日々追い詰められる政局に先手を打つことを提案した。PTB党首の告発では、官房室が政府機関の管理職を割り振る伏魔殿になっているという。管理職の職権は、汚職による不正資金取得の道具になる。特に管理職を宛てがわれなかったPT党員が、職権乱用でゆすりを強要する。
官房長官は閣外へ去っても政府から去るのではなく、下院へ帰り奥の院で目を光らすらしい。官房室は誰でも出来る仕事で、ジルセウ氏は従来通り、PTでは縁の下の力持ちとして活躍するとしている。
ジェフェルソンPTB党首が、裏金の資金源は公社や企業など多数あったと暴露した。集められた資金はトランクに積め、首都のPT財務担当のもとに送られる。同担当は、PT広報係のヴァレリオ氏やジャネネ下議(進歩党=PP)などの協力で仕分けを行った。ヴァレリオ氏が資金の配布係であったという。PTB党首は、PTがPTBだけを悪者にする魂胆だと疑心暗鬼でいる。
グランジャ・トルトは十三日、会議に続く会議で夜を徹した。閣議では政治危機の分析を行い、ブラジル民主運動党(PMDB)との連携強化を含めた内閣改造を実施という結論に至った。毎度の内閣改造は派閥人事に邪魔され、完成した内閣が政治力に欠ける無力内閣だったと大統領は苦言した。
政調会長は閣議後、PMDBの幹部巡りを行い、PT・PMDB枢機案とPTBの懲戒処分を報告した。その足で官房長官を訪ね、記者団に官房長官支持の声明を発表した。これは官房長官の辞任説を裏付けることになり、逆効果だったようだ。政調会長と官房長官は犬猿の仲であり、この場での同盟は不自然さを示唆した。
これまでのPT連立政権は、ドットゥラ都市開発相が指摘するように「悪友政権」であったと大統領は反省した。悪友は政権発足後、悪知恵を発揮し政権を食い物にして懐を肥やした。