さて、どっちに行こうか。市立劇場では、バイオリンの福田百合子さんが演奏する。サンペドロ劇場の合唱公演は、宗像直美さんの指揮だ。開演時間が重なり悩んだ。
「恋人の日」のプレゼントだな。道すがら、赤い花束を携えた人々とすれちがう。これが決め手になった。草花を装飾のモチーフとしているサンペドロ劇場にしよう。
一九一七年に完成したアールヌーボー様式の建築。壮麗ではないが、小粋で窈窕たる淑女のようで、花香る日曜日のマチネーにはぴったりだ。
会場は満員御礼。花弁を模ったライトが消えると、その日の演目「アメリカ・カンタ」が始まった。南米らしい民謡や聖歌の混声合唱。心のシワがすぅーと伸びた。
福田さんの独演を逃したのは心残りだが、二つの名門劇場で「恋人の日」を演出したのが日系女性だったという偶然には感心している。(大)
05/6/14