6月15日(水)
【ヴェージャ誌一九〇八号】さとうきびで作られたアルコールが、ブラジルでは自動車の燃料として定着した。一九七〇年代に石油ショックが起き、燃料価格が暴騰して以来、アルコール燃料への研究が本格化し、九六%の自動車がアルコールで走るに至った。
石油ショックが沈静化して燃料価格が正常化すると、いっせいに砂糖へ切り替え、アルコールは衰え始めた。しかし最近またアルコールが注目され、自動車産業の寵児として劇的にデビューした。アルコールを始めとするバイオ燃料と、ガソリンを両用する自動車は、フレックス燃料車と命名された。
ブラジルがフレックス燃料車で先便を付けたのは、自動車のキャブレーターを改良したことによる。特殊気化装置によりガソリン、アルコール、混合燃料の使用が可能になった。現在六社がフレックス燃料車を生産している。
フォルクスワーゲンでは現在、フレックス燃料車が売上げの六六%を占め、二〇〇六年末までに全車をフレックス燃料車にする予定だ。もはや自動車のフレックス化現象は避けられない。
原油高騰のおり、バイオ燃料価格は安定している。原油価格がバレル当たり五〇ドル代を推移する間にバイオ燃料は増産される。原油が三五ドル以上を保てば、バイオ燃料は安泰とされる。
世界を見渡すと、米国はとうもろこしでバイオ燃料を生産している。ドイツは菜種。カナダは小麦のわら。バイオ燃料への取り組みは緊急課題とされる。石油は、あと三十年で枯渇するという。
原油の最大供給地、中近東は政治不安の本場で、いつ何が起きてもおかしくない。ベネズエラに至っては、カストロのクローンのようなチャベス大統領がいる限り頼りにならない。
ドイツでは、食用油で走るエンジンを開発中だ。各種のバイオディーゼルが世界各地で研究されているが、実験段階を出ていない。最大の問題は生産コスト。現段階では価格超過分を、補助金かガソリン税でカバーをしている。
ブラジルは九九年以来、補助金を貰うことなく自分の足で歩いている。ブラジルは、バイオ燃料で世界の先進国として注目を集めている。