6月17日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十六日】連警は十五日、スキンカリオール飲料会社(本社サンパウロ州イトゥー市)と配給関連会社を脱税の容疑で摘発し、七十人を逮捕した。この中にはスキンカリオール社の最高幹部ら七人も含まれている。
脱税総額は過去五年間で一〇億レアルに上ると見られており、国内犯罪史上、最大規模の脱税となる。同社は国内二位のビール会社で、創始者が二〇〇三年に自宅で強盗に殺害されて話題となった。今回逮捕された七人の重役陣はいずれも創始者の弟や息子、甥などの親族だ。
連警はビールの運送が全国にまたがることから、十二州に捜査員六百人を動員して十四カ月にわたり内偵を続けた。国税庁の監督官百八十人も捜査に加わった結果、立件の物証がそろったことで、七十七人の逮捕状を取りつけ七十人を検挙した。
同社および配給会社のほか、関連会社でビールのイタイパーヴァやクリスタルのブランドで知られるペトロポリス・ビール会社の社長も逮捕された。このほかゴイアス州、リオデジャネイロ州、パラー州の財務局の監督官六人とミナス・ジェライス州の軍警二人も一味に荷担したとして逮捕された。
調べによると同社は、配給会社に対しアンダーインボイス(実際の価格より安く表記し、差額を裏で入金する)で税金をごまかしたり、同一の出荷伝票を数度使用していた。また州によって商品流通サービス税(ICMS)が異なることから仕向地を偽っていた。例えば北東部の州向けに伝票を発行しながら、実はサンパウロ州に流していた。そのため運送トラックには偽造ナンバーを使用していた。摘発された配給業者の中には、これらの操作で浮いた金を同社に毎月一〇〇万レアル納めていた業者もいた。
同本社があるイトゥー市には五十人の連警と二十人の国税庁官吏が、大型ジープ一台、バス二台、パトカー十五台に乗り、ヘリコプターに先導されて到着した。イトゥー市は大きな物や大げさな町としてつとに有名だが、この物々しさにはさすがの市民も驚いたようだ。
連警は七人の重役陣をそれぞれの自宅で逮捕するとともに、本社事務所を急襲して帳簿やコンピューターなどの証拠物件を押収した。勤務していた社員は身許を確認された後に帰宅を命じられたが「機関銃をいきなり突きつけられ、まるでギャング扱いだった。無抵抗の市民に銃を向けるのは行き過ぎだ」と一様に憤慨している。
スキンカリオール社は事実無根だとして容疑を否認する声明文を発表した。同社を我が町の誇りとするイトゥー市民の中には、今回の手入れは郵便局汚職事件から世間の目をそらせる連警の「やらせ」だとする声も出ている。