6月21日(火)
二宮正人さんがポルトガル語に翻訳した美智子皇后陛下著作の『バーゼルより―子どもと本を結ぶ人たちへ』の出版記念会が二十三日午後八時から、ブラジル日本移民史料館九階で開催される。その案内に二宮さんと史料館運営委員長の田中洋典さんが来社した。
皇后さまは二〇〇二年九月二十九日にスイスのバーゼルで行われた国際児童図書評議会(IBBY)創立五十周年記念大会の開会式で挨拶された。この本は、その挨拶の原文となった日本語を二宮さんがポルトガル語に翻訳し、日伯両語版にして出版されるものだ。
二〇〇〇年にブラジルで出版された前著「橋をかける―子供時代の読書の思い出」では、子供や青少年の読書の奨励によって世界平和を実現させるという考えを示している。同著は、そのために努力している人々を激励している。
「美智子皇后陛下の誕生日の十月二十日には間に合わなかったけど、ルーラ大統領訪日には間に合ったからよかった」と話す二宮さん。リオにあるIBBYに原稿を持って行って読んでもらい、手直しをするなど翻訳作業に半年間費やしたそう。
訪日時には皇后さまからルーラ大統領に同著が手渡された。二宮さんの話によると、皇后さまは「ポルトガル圏の人々に自分の考えを知ってもらえることは嬉しい」と話されていたという。
また、二宮さんは主目的として、在日ブラジル人のことを念頭に置き、在日ブラジル人学校や、神奈川の久里浜少年院へ同著を寄付した。「ポルトガル語に飢えている子たちが多く、日伯両語版の本が必要とされている。彼らの学習の役に立ってくれれば嬉しい」と話す。
その他、在日ブラジル人支援センターClube do Brasil Sabijaに百二十冊、史料館に百冊寄贈される。なお、同著の売上は全額同館に寄付する。