6月22日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙七日】サンパウロ大学経済学部のサワヤジャンク教授は、パロッシ財務相の景気回復は鶏の羽ばたきではないと公言したが、雲行きが怪しくなってきたと次のように述べた。
ブラジルの二〇〇四年度輸出額は、九六五億ドルに達し、国内総生産(GDP)の二五%となった。この数字をただ喜ぶだけではなく、原因を分析すべきだとした。
一九九九年は為替レートが有利であったことと、国内市場の低迷に引き換え海外市場の好況が手伝った。既存市場への輸出が伸び、生産性も向上した。農業も過去三十年の間に、基盤が強化された。
問題は、マクロ経済政策が輸出の妨げとなっていること。限度を超えた政府経費が高金利を増長し、通貨政策に影響を及ぼしている。短期マクロ政策の他に輸出の可否は、貿易の根底を支えるインフラ整備と関税障壁の軽減、資本財輸入の便宜にかかる。
貿易は相手国の関税や補助金制度、セーフガード(緊急輸入制限)、衛生規制などを取り仕切る経済政策の一部分である。それに対応する国内の関係機関を強化する必要がある。貿易交渉は、十年位先の結果をベースにしない長期的展望が必要である。
ブラジルは過去十年間に克服した障壁があるか? 過去五年間、貿易振興でどんな合意に達したか? 何もない。過去五十年の経過を見ると、八〇年代後半と九〇年代前半に国際競争力の強化と国際市場への参入が活発に行われた。
三つのイベントが当時、同時進行した。一、輸入税を平均五五%から一二%へ軽減。二、ウルグアイ・ラウンドで十二項目の新規定を設けた。三、メルコスルの結束などだった。
九五年以後の通商交渉は消極的で、これという目ぼしいものはない。カルドーゾ政権とルーラ政権は外交政策では積極的に、それぞれのスタイルで、得意分野で活動した。
しかし、ブラジルには三つの悩みがある。輸出に有利な条件がそろうのは短期間であるため波に乗るのが困難であること。衛生問題やロジスチックの問題で投資が中期にわたるのが負担になること。長期では対EUや対アジア、対米貿易戦略が求められていること。
ブラジルはドーハ・ラウンドの失地回復のため、対米、EU、アジアの貿易戦略に精神集中する必要がある。これが今後の関税軽減や補助金削減、サービス輸出促進、アンチダンピング回避につながる。
日本とEUは、農産物市場の開放反対に固執している。途上国は保護貿易に固執し、市場開放をボイコットする構えでいる。