6月24日(金)
【ヴェージャ誌一九一〇】来年ドイツで開催されるサッカーW杯に、世界で一番乗りで出場を決めた日本代表チーム。その指揮を取るのが、往年のブラジル代表メンバーだったジーコ監督だ(日本の選手登録でジーコとしたためブラジルでの発音とは少々異なる)。九一年から日本でプレーをして鹿島アントラーズで監督(選手兼)、総マネージャーを経た五十二歳。家族をブラジルに置き、単身赴任で日本の間を往復している。「サッカーは結果がすべて」と言い切る勝負師だ。以下は「指揮官」との一問一答である。
―日本のW杯出場は驚きでは?
自分は楽天主義者だから、ある程度は予想していた。自分のチームを心底から信頼していた。
―では何故非難を受けたのか?
サッカー界で非難や中傷を受けない監督はまずいないだろう。勝っても負けてもだ。外国の報道陣、とくにヨーロッパのマスコミに叩かれた。自分がブラジル人でヨーロッパ人ではないからだ。
―日本で差別を感じるか?
マスコミは差別がなく、ブラジルのマスコミ同様怒ったり、賞めたり、非難したりするが、我々と一心同体だ。一般国民も差別せず、逆にブラジル人を尊敬している。
―日本で監督としてデビューしたが、経験不足では?
日本でプレーを始めた年から監督兼任だった。共にプレーしながら采配を振るったのが良い経験となった。時には自分のプレーが傲慢だと自覚して、途中で自分に交代を命じたこともあった。
―日本代表の最大の欠点は?
これまで勝つことに貪欲ではなかった。それが欠点だったが、最近は勝つ快感を覚えてきた。
―クラブチームとの監督の差は?
代表メンバーは国際試合の二、三カ月前に集合するため練習が十分にできない。四六時中プレーヤーと一緒のクラブチーム監督とは違う。
―日本代表のW杯出場は大穴馬では?
今の世界サッカー界に本命馬も穴馬もおらず、実力は伯仲している。
―来年のW杯の優勝は?
ブラジルかアルゼンチンだ。
―日本での生活の難点は?
家族と離れていることが辛い。しかし日本は第二の家として愛している。最初は温かく迎えられ、今は尊敬されており、何一つ文句を言うことがない。
―日本との文化、風習の違いは?
日本人は外国人に対して冷たいと言われているが、温かいのが実情だ。サッカーが熱く燃えさせたのだ。