6月24日(金)
どっちを応援しようか――。二十二日に行われたコンフェデ杯の日本対ブラジル戦では、二対二の引き分けに終わったが、両国でジッコ日本の健闘ぶりが大きくマスコミに報道された。英雄ジッコが率いるだけに、ブラジル側も今回は異例の報道合戦を繰り広げ、過去の対日本戦にはなかった注目度合いだった。決勝進出を果たしたセレソンだが、マスコミは容赦ない批判を浴びせた。
「審判の手でブラジルは救われた」と皮肉たっぷりに二十三日付けエスタード紙は報道。恒例の採点では、二失点を献上したゴレイロのマルコスや、前線までボールを持って前に出すぎたディフェンスのルシオに四点と落第点を付ける一方、日本の中田に「知的采配」で最高点の八点、柳沢や小倉に、ブラジル側最高点であるロナウジーニョ・ガウーショやロビーニョと同じ七点を与えた。
前半三分に誤審で取り消された加地のゴールを「主審と線審のミス」と伯字紙各紙は指摘。「アミーゴの主審が助けてくれた」などの見出しが躍り、カナリア軍団の不甲斐なさをあてこすった。「あれが認められていれば、展開は変わった」とジッコも悔しさを隠さなかった。
「ブラジルサッカー界にとって歴史的な瞬間」。国内最大のスポーツ紙ランセは、英雄ジッコ率いる対に本戦をこう評した。カナリア色のシャツを着て、歴代三位となる六十六得点を挙げているジッコが母国の前に立ちはだかる――。まさに構図は「ジッコ対ブラジル」。
「幼い頃から、学校では国歌をきちんと歌うよう教えられてきた。今日もそうだよ」。選手として八十八回口ずさんだブラジル国歌について試合前は平静を装ったジッコ。だが、終わって見て本音が出た。「心臓がバクバク言った。途中で終わってくれてよかった」と感慨を口にした。
守備陣の一部でレギュラーを欠いたものの、ロナウジーニョやロビーニョ、カカーを擁するブラジルの攻撃は紛れもなく世界最高級。「泣く子も黙る」カナリア軍団相手に、日本は怯むことなく試合を進めた。
各紙は、ジッコの采配に高い評価を送ると同時に、前半に同点のミドルシュートを叩き込んだ中村にも「技術と知性あふれる選手」「マルコスからゴラッソ(スーパーゴール)奪った」と賞賛した。
手に汗握りながらテレビ観戦した日系二世、沢里オリビオさん(パウリスタ野球連盟会長)は「迷ったね、どっち応援するか。ホントまいったよ」と日系人ならではの心中を語り、「本気でブラジルに勝とうとしている姿勢がとても気に入った。すごくうまくなった」と日の丸軍団の躍進振りを誉めた。
初勝利こそ逃したものの、世界王者に冷や汗をかかせたジッコジャパン。次なる対戦の場が、来年のW杯だと期待したい。