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銃器で14分間に1人死亡=死亡率は世界2位=アフリカ内戦、中近東紛争上回る

6月29日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十八日】ブラジル国内での銃器による死亡者は一日当り百七人を数え、十四分間に一人の割合となっている。一九七九年から二〇〇三年までに五十五万人が死亡しており、アフリカの内戦や中近東紛争での戦争犠牲者の数よりはるかに多い。ユネスコが取りまとめたもので、二十七日の上院本会議でブラジル支部により発表され、銃器の商取引禁止に関し早急に法令化するよう促した。
 それによると死亡率はベネズエラに次いで世界二位となり、十五歳から二十四歳までの若者の犠牲者はベネズエラ、プエルトリコに続き三位と高率となっている。この二十四年間で人口増加率五一・八%に対し、銃器が原因の死亡率は四六一・八%上昇した。これには自殺や事故は含まれていない。また銃器による殺人は五四二・七%の上昇をみた。十五歳から二十四歳までの人口増加は四三・二%に対し、死亡率は七四二・九%と高率だった。
 これら若者の死亡者数は全体の約半数を占め、ブラジル人の平均寿命が低い原因となっている。いっぽうで二〇〇三年におけるエイズによる若者の死亡者は六百六人で、銃器による死亡に対し二十七分の一となった。これはエイズ撲滅キャンペーンが功を奏したもの。
 ブラジルでは一九九三年までの十年間に三十二万五百五十一人が銃器により死亡、年間平均三万二千五百五十五人となった。アフリカのアンゴラ内戦では二十七年間に五十五万人が死亡、年間平均二万人だった。ペルシャ湾の紛争では一年間で一万人が死亡。エルサルバドルの内戦では十二年間に八万人の年間平均六千六百人、東チモールの独立戦争では二十六年間に十万人の年間平均三千八百人、同様モサンビークでは十三年間に三万五千人で年平均二千三百人、コロンビア革命軍のテロでは三十六年間に四万五千人となった。いずれも内戦や独立といった大義名文(?)を掲げての戦争にもかかわらず、ブラジルの死亡率より大幅に少ない。
 ユネスコでは平和なブラジルでの銃器による死亡率が高いのは、銃器の取締りが手ぬるいからだと指摘する。銃器追放キャンペーンでこれまでに市民から三十六万四千丁の銃器が供出されたが、これはほんの一部だとみている。このため商取引禁止にとどまらず、所持禁止も含めた早急な法令化が必要と主張している。