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金儲けは資金洗浄が近道=守られた公務員と金融機関

6月29日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十六日】ブラジルで短期間に大金を儲けるなら組織犯罪による不正資金洗浄(マネーロンダリング)が最も近道である。そこには必ず国家公務員の関与があると、サンパウロ州検察局のルイザ・エルフ検察官が語る。
 金融機関は不審な不正取引に気付いているが、多くの場合不罰特権という重厚な甲冑で守られている。これまで不審な金融取引は、何らかの圧力で資産を差し押さえられたが、全て後で解除されている。
 特に米国の九・一一事件以来世界各国を駆け巡るテロ資金は、米情報機関の厳しい検閲を受けている。特にブラジル在住でアルゼンチンとパラグアイ国境地帯のアラブ系住民は、テロリストとの関係有無に関わらず、高額取引や銀行融資は米機関のチェックを受ける。しかし、これまでねずみ一匹出ていない。
 九・一一テロ以後、ブラジルには好都合なことが起きている。テロと関係ないのに、欧米諸国ではアラブ系住民に対し、隠ぺい資産の厳しい検閲が行われている。そのため、ブラジルへ資産の移動が始まっている。
 不正資金の送金がアラブ資産の移動の中に紛れてカモフラージュできるので、犯罪組織には丁度よかった。犯罪組織が専らマネロンに利用しているのは、株取引で得た利益である。だから株式市場で行っている株取引用の融資を止める必要がある。
 こんな美味しい話はない。そしてマネロンを取り締まる当局の動きは、絶望的にのろい。なぜ当局は無能なのか、理由を挙げると三つある。
 一は当局の勉強不足で、犯罪組織の手口を理解していない。二は法科大学に組織犯罪学科がない。専門家を養成していない。生徒は関心すらない。三は当局の職員が組織犯罪防止に取り組む意欲がない。むしろ組織の一員となって、懐を肥やす方に関心がある。
 バストス法相が、海外資産の回収班とマネロン特捜班を結成した。ようやく取り締まりが本格化するらしい。驚くべきことは、不正資金は麻薬や武器取引より、公務員の犯罪による汚職資金が多いことだ。
 会計検査院の調査によれば、連邦政府が地方自治体に交付する資金は、三分の二が目的地に着かず横流しされているという。リベートや上納金、横領のかたちで消えるというのだ。