7月5日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙四日】労働者党(PT)執行部は三日、広告業者とPTの癒着関係を新たに証明する衝撃告発がルーラ大統領に及ぶのを避けるため、ソアレス財務担当とペレイラ事務局長を辞任させる意向を明らかにした。同じ処分が予測されたジェノイーノ党首は、大統領の要請で留任の見込みとなった。また広告業者ヴァレーリオ氏がPT名義の融資二四〇万レアルの保証人となり、債務の一部を決済したことも判明し、癒着関係が動かないものとなった。
PT財務担当と事務局長の辞任については、執行部と本人ら双方がほぼ合意し、五日の執行部会議で正式決定の予定となった。二人はPTと広告業者の危険な関係が大統領へ及ぶのを避けるため、影武者の役を負わされたようだ。
五日の会議では、辞任後の二人の身の振り方と党の方針について協議する。PT党首は党内左派を含む党代表者大会を九日に招集し、一連の告発への対処法について広く意見を募り、党債務の決済法などを協議する予定だ。
野党の告発攻勢の中で党の非常事態を打開できるのは、ジェノイーノ党首しかいないと、大統領は見ている。ヴァレーリオ氏がPTへの二四〇万レアルに上る融資の保証人になったという週刊誌の告発記事は、PTと広告業者との癒着を証明するものとして、PTにとって新たな衝撃となった。
党首自身は自己弁護に執着し、党の事態を打開する自信を喪失したと見受けられる。PT党首は広告業者との連名捺印の証拠を目前にしながらも癒着を否定し、責任を財務担当になすりつけた。党内にも党は死に体であるとして、党首の進退をめぐり意見が分かれている。
さらに事態を悪化させたのは融資金の分割決済で、ヴァレーリオ氏が三五万レアルを肩代わりしたことだ。これでPTと同氏との癒着関係は、動かなくなった。財務担当と事務局長の失脚も決定的となった。更迭はないと強気の発言をしていた財務担当は、矛を納めたらしい。
PTの債務は総額二〇〇〇万レアルとされ、ほとんどが大統領選に使われたという。PTの資金源にくさびが打ち込まれたことで、幹部二人の失脚だけでは事態は収拾しないと見られている。
ミナス・ジェライス銀行(BMG)から二四〇万レアルの融資を引き出したのは、ルーラ大統領就任後四十八日目だった。銀行は、三人の保証人を要求した。二人の保証人は党首と財務担当と内定していたが、もう一人の保証人選出で手間取っていた。
まさか今日の事態を招くとは予想しなかったヴァレーリオ氏に、白羽の矢が立った。今になって財務担当に責任を取らせることになった。事務局長は週刊誌告発に名を連ねていないが、役職配分で多額の献金を集めたとして、責任を取るということらしい。
前教育相のブアルケ上議(PT)は、大統領に二〇〇六年の再選を断念するよう進言した。政治危機の次期大統領選への影響は免れないという。現政権の経済路線は前政権を踏襲したもので、ルーラ色は何も出ていないという同上議の意見だ。さらに裏金告発で党が混迷する中、休職中の二人を党内審議にかけ、その間に党首と関係首脳を無傷で要職から去らせるという提案を同上議は執行部に行った。