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熱血判事、南マ州に登場!=麻薬犯罪に次々有罪判決=組織の死の脅迫物ともせず

7月5日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙四日】麻薬犯罪組織からの死の脅迫を物ともせず、次々に有罪判決を言い渡して刑務所に送り込んでいる熱血判事がいる。
 マット・グロッソ・ド・スル州ポンタ・ポラン市の裁判所に勤務する判事で、昨年六月に着任以来、一年間に百十四人に有罪判決が下された。量刑も計九百十九年六カ月で、中には資金洗浄で起訴された銀行元支店長(三〇億レアルの麻薬資金洗浄の罪)の百七十二年及び罰金三五万レアルも含まれている。
 さらに麻薬資金で得たと目される財産も没収、その数は計一万二千ヘクタール強の十二農場、同市内の時価五八〇万レアル相当の別荘三軒、六軒の住宅とマンション、数十台の自家用車と三機の飛行機に及んだ。これにより、スピード判決と量刑は全国最高となった。
 同市はパラグアイとの国境の町で、同じく同州コルンバー市と並び、パラグアイからの麻薬密輸の玄関口となっている。麻薬はコロンビアからパラグアイにいったん運ばれ、同市経由でサンパウロ市に送られた後、国内や外国で販売される。以前は飛行機で輸送されていたが、空軍が不審機を撃墜できる法令が定められてから陸送に代わった。このため連警は同市の警備を強化したため、検挙数はウナギ上りに増えた。
 これまでは組織が賄賂や脅迫で裁判を長びかせ、その間に保釈を勝ち得てきたが、同判事のスピード判決でその機会が消え、組織にとっては「けしからぬ存在」となった。
 このため、電話や手紙、はては獄中の犯罪者から死の脅迫が殺到した。パラグアイ紙の報道によると、同地の組織は同判事の「首」に三〇万ドルの懸賞金を出したという。同判事によると、着任早々は一〇万ドルだったとし、「値打ちが上がったようだ」と冗談めかして笑っている。
 これにより住居を裁判所内に移した。もちろん武器で重装備した連警数人が警備に当たっている。着任時はホテル住まいだったが、連警の警備に気兼ねし、家族の安全を考慮して軍隊内の宿舎に移った。その後、家族をコルンバー市に帰し、単身裁判所で寝起きしている。
 かくしてブラジルで初めて警備付き「隔離生活」を送る判事の誕生となった。同判事は、送検書類の中で生活しているので仕事がはかどるとして、「ますますスピード判決ができる」と組織の神経を逆撫でする発言をし、気を吐いている。