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移民の父偲んで=上塚翁の墓参り=プロミッソン市=静岡県人会

7月6日(水)

 静岡県人会(鈴木静馬会長)は二日、プロミッソンの市営墓地を訪れ、移民の父、上塚周平の墓参りを行った。参加したのは、三日に催されたカフェランジャ第一平野植民地九十周年に出席した三十八人の慶祝団。在サンパウロ総領事館の沖田豊穂領事も参加した。プロミッソン市営墓地の上塚氏の墓前で線香を上げた後、墓石に刻まれている略歴を興味深そうに眺める参加者も見られた。
 「私は上塚先生の足元で生まれたんです」
 上塚家の庭でいつも遊んでいたというプロミッソン日伯文化体育協会の元会長、安永忠邦さん(84)。長年、墓を守り続けてきた。
 上塚氏が一九三五年七月六日に死去する一週間前、十四歳だった安永さんは、日本語学校の生徒を代表して、病床の上塚氏を見舞っている。
 「その時、私の手を握って『がんばれよ』と繰り返されたことは忘れません」と記者に語った。上塚氏の祥月命日に当たる七月六日には、同文協(約百五十家族)主催で法要が行われている。
 参加者の一人、田村寿さん(85・カンピーナス市在住)は、「本で読んだことがあるし、有名な人なので一度お墓参りをしたいと思っていた」と満足そうに笑顔を見せていた。
 一行は墓地から八キロほど離れた上塚周平公園も訪れ、ブロミッソン入植五十周年を記念して建立された頌徳碑の前で記念撮影を行った。
 園内にある開拓犠牲者、先亡者らを祀った光明観音堂や上塚瓢骨の俳号が刻まれた句碑などを参加者はそれぞれの思いで見て回り、上塚翁の威徳を偲んだ。
 ツアーを企画した旅行会社、石井久順ブラスヴィア社長は、「百周年を控え、過去を忘れないためにも、今回両地を訪れることができたのは意義のあること」と話した。