7月7日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙六日】政府与党労働者党(PT)の裏金問題と他党議員の買収工作が表面化し、政局スキャンダルに発展している中、渦中の人物とされる同党のデルービオ・ソアレス財務担当が噂通り事実上辞任した。
同財務担当は五日、党執行部に対し書状で無期限の休職届を提出、事実上の辞任となった。これによりジルセウ官房長官、ペレイラ事務局長に次ぎ、同党の主流で、ルーラ大統領の信頼が厚かった三人が失脚したことで、改めてジェノイーノ党首の責任問題が表面化、内部分裂の様相を呈している。それにともない同党首が辞任に追い込まれた場合、グシケン広報長官が共同経営していた会社の疑惑も取り沙汰される可能性が高く、党首脳部は難局の乗り切りに必至となっている。
同財務担当は休職届を提出した後、二十分間のあわただしい記者会見で身の潔白を強調するとともに、二〇〇三年にブラジル銀行がPTに融資した二四〇万レアルは独断で行ったもので、党首の預り知らぬことだったと明言した。また資金調達者とも現金運び屋とも呼ばれている広告代理店経営のマルコス・ヴァレーリオ氏とは友人の関係で、前出の融資の裏書保証をしてもらったり、政府との広告契約一億四四〇〇万レアルの仲介をしたとして、同氏との癒着を認めた。
他党への買収工作や金の配分については、議会調査委員会(CPI)で知っている限り話すつもりだと語った。三人の失脚に伴い、党内ではジェノイーノ党首の責任問題を追求する声が強まり、同党首は窮地に追いこまれている。去就は今週末の全国党執行部会で決定されるが、左派グループは退任を要求している。これに対しルーラ大統領をはじめとする主流派は、今年九月十八日に予定されている党執行部選挙で同党首を続投させることを申し合わせており、今回は火の粉をふり払う方向で調整している。
大統領は五日夜、同党首に電話で強く留任を説き、同党首は感涙にむせたという。同党内は主流派が五一%、主流派に近い中立派が一三%、反主流の左派が三六%となっていることから同党首の留任は堅いとみられている。いっぽうでグシケン広報長官が共同経営していた(現在は経営から離れている)会社が、ルーラ政権になって以来業績を伸ばしているために疑惑を持たれており、同党首が辞任した場合、左派により同長官に対する追及が始まると可能性もある。