7月8日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙七日】ブラジル銀行は六日、労働者党(PT)への二〇六〇万レアルの融資で便宜を図り、保証人も立てなかったとする告発を受けたことで、ルイス・F・アブレウ財務担当とエジソン・モンテイロ個人融資担当の副頭取二人を免職処分にした。上下両院の野党議員は直ちに、公立銀行と与党との癒着関係を調査する。ブラジル銀行の役員免職は、公立金融機関の、PTとの癒着清算の第一歩で、広範囲に渡り綱紀粛正が行われると関係者は見ている。
広報会社への検察の介入と同様、公立金融機関とPTとの癒着にも捜査の手が及ぶらしい。副頭取二人の免職は六日、公的資金の運用について法令が定めた基準では容認できるが、倫理的に問題があるとした。免職理由は、政府与党のPTに融資を行った理由と目的にある。両副頭取の抗弁は、行為の正当化には不十分とされた。
伯銀法務部によると、不正融資に対する懲罰から法的に免れる手立てはあるという。連邦会計検査院(TCU)も、法的見地と申請手続きでは許容範囲にあるとしている。ただ倫理のふるいに掛けた場合、政府与党への融資が引っ掛かるという。
公共機関の非政治性という背景の中、一政党への融資の便宜は、政府機関への役職配分や権限保持などという問題が絡んでくる。融資への便宜が引き起こした問題で、まず伯銀の傘下にあるポプラール銀行のジェラウド・マジェラ頭取が俎上に乗せられそうだ。
同頭取は連邦直轄区知事選挙でロリス知事(PMDB)に敗れて後、一年間PTのお呼びを待った。そして与えられたのが、ポプラール銀行頭取であった。同頭取の経営手腕は、PTに試される。同頭取の実力が党に認められないと、次回選挙でチャンスを狙う空席待ちリストに載る。
同頭取の就任は有力者の紹介によるもので、実力によるものではない。公共機関の中には、実力によらず政治的配慮で要領よくのし上がった者が多い。天下り人事のケースは今後も続出するものと思われる。
ブラジル銀行には、副頭取が七人いる。二人はPTからの天下り。後の五人は階段を一段づつ上がってきたキャリア組である。免職となったアブレウ前副頭取は、ブアルケ前教育相が連邦直轄区知事だった時に、ブラジリア地方銀行の頭取だった。その後、PTの天下り人事で伯銀副頭取に就任した。
もう一人のPT天下り人事で入ったルイス・C・セーザル副頭取も近く、PTのお座敷人事で閑職を余儀なくされる。個人融資を担当し免職となったモンテイロ副頭取は、国際部担当のリーマ臨時副頭取と交代する。ブラジル銀行のロザノ・M・ピント頭取は、副頭取や幹部要員をPT党員以外のキャリアに徐々に入れ替える方針でいる。
同頭取の経営方針は、パロッシ財務相が了承した。ブラジル銀行の人事は、副頭取と部長を永年勤続者で固め、汚職と公金横領の先兵のような連立与党の天下り入行は断るという。永年勤続者の中には、経済学の博士号を取得した金融専門家も多い。