7月8日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙五日】銃器所持追放キャンペーンによる銃器の供出で、殺人や傷害事件が減少している。イギリスのオックスフォード大学ブラジル研究センターがデータを分析した結果、サンパウロ市内での銃器による殺人は過去四年間で三七%減少した。このうち銃器供出による減少は一四・八%を占めた。とくに二〇〇三年十一月に制定された銃器所持を規制した暫定令が施行されてから減少は顕著となった。
このほか、サンパウロ州全体で強盗が一七・八%、銃器を原因とする傷害入院が一七%、犯罪者の銃器押収が一二・九%の減少となった。強盗犯罪はサンパウロ市内では二五・九%の大幅減少となった。
同センターでは、銃器を持つことで気が大きくなり、ささいな口論からケンカに発展、逆上して殺害や傷害を引き起こす原因となると指摘する。これを裏付けるように、法定監察院では銃器で殺害された死体の四二%からアルコール飲料が検出されているという。つまり飲酒上でケンカとなり、殺害されたもの。
また殺人捜査課によると、殺人の八九%が銃器によるもので、このうち二五%は頭部に弾丸一発を撃ち込まれて即死している。六四%は頭部に命中していない。同課によると、頭部を狙うのは当初から殺害を目的としており、それ以外は、最初は殺意がなかったものの、逆上してとっさに犯行に及んだものだという。
昨年七月に始まった銃器追放キャンペーンで、これまで三十六丁の銃器が供出された。今年六月で供出は期限切れとなっていたが、政府は十月二十三日までの延長を決めた。サンパウロ州では六月二十四日の時点で、供出は十万九千丁強だったが、今月四日までに十一万二千丁強に増加した。
いっぽうでサンパウロ州政府筋では、必ずしも銃器供出が犯罪減少の原因ではないとし、警官増強によるパトロール、市民の防犯意識の向上、政府の防犯対策などが一丸となって功を奏していると分析する。
サンパウロ州データ分析局によると、サンパウロ市内の殺人事件は二〇〇〇年の六千九十一件から昨年は三千九百四十四件へと三五・二五%減少した。九十六区のうち七十九区で減少を見た。人口十万人当たりの減少率のベスト6は、一位がコンソラソン区の八二・一六%減で、以下順にラッパ区(八〇・七九%)、ヴィラ・マリアーナ区(七五・二六%)、アルト・デ・ピニェイロス区(七三・八二%)、ピニェイロス区(七三・〇七%)、シダーデ・チラデンテス区(七一・五四%)となっている。
逆に増加したワースト6は、一位がパリ区の二九二・五六%増。以下順にペルス(二七八・九九%)、モッカ(三一・〇六%)、カンポ・ベロ(二八・三四%)、ジャラグァ(二六・四九%)、ビラ・レオポルジナ(二四・九四%)だった。
データを発表したアウキミンサンパウロ州知事は殺人増加地区に警官を増強し、パトロールを強化することを明らかにした。