7月13日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙六月二十二日】第二十八回メルコスル定期総会は十九日、アスンシオンで開催されたが事実上振り出しへ戻ったと、ルーラ大統領は認識した。得意のルーラ節もここでは止めた。これまで積み上げたはずのレンガも、基礎工事のやり直しへ戻った。
会議が空回りしたのは、今回だけでない。四カ国首脳は何度もメルコスルの基礎ともいうべき関税協定の見直しを討議したが、どれも不完全であった。堅固な基礎を築かなければ、メルコスルは崩壊する。
認識だけでは不十分だ。無気力状態から抜け出すプロジェクトを考案し、穴だらけのチーズのようなメルコスル協定を修繕する必要がある。大統領はメルコスルの基礎としてメルコスル議会を提案したが、具体的内容は何もない。
加盟四カ国の所得格差から目を逸らしても、問題は解決しない。ブラジルを除く三カ国は、通商協定を締結する前に国内で解決しなければならない問題が山積し、短期間のうちに協定に参加できる状態でない。
所得格差は加盟国間だけでなく、各国の中にもある。ブラジル北東部と中央・南部の格差は、伯亜間の格差どころではない。域内の所得格差から解決しないと、メルコスルは前進しない。
メルコスルのほころびは、初期段階である自由貿易システムから始まった。しかし、セーフガード(緊急輸入制限)方式を採用するなど、自由貿易以前の状態にある。技術的に優れたブラジル製品は、目の敵にされた。
自動車に至っては、亜国が三年間の自主規制を要求した。三年間でブラジルの水準に追いつこうという考えらしいが、事実は逆である。ブラジルの技術水準は三年後、亜国が逆立ちしても追いつかない程の高くなり、技術格差は残る。
メルコスル加盟国は、自由貿易の初歩的勉強からやり直す必要がある。その次に関税協定を含む対外政策の番だ。EUも関税協定の準備に五十年を費やした。それでも本番が始まらないうちに、フランスとオランダの国民はEU憲法を拒絶した。