7月15日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十日】級友や下級生へのいじめは古来から後を退たないが、最近はインターネット上であられもない写真を世界的に公開する新手口が流行している。この手口はブリングとかサイバーブリングと若者の間で呼ばれている。
ブラジルでも御多聞にもれず流行の兆しを見せている。リオ市検察局は九日、十六歳の男子学生二人を検挙、補導した。裁判では、少年鑑別所に四十五日間収容の判決を勝ち得た。訴えたのは、そのうちの一人の恋人の女子学生(16)の母親で、二人のセックスシーンを撮影しインターネット上に流したとして、二人をプライバシー侵害、名誉棄損、未成年者との性交渉の罪状で告訴した。
母親は民事、刑事告訴でとことんまで法廷闘争に持ち込むと息まいている。また娘は恋人に裏切られたショックで精神が不安定となり、一日中部屋に閉じこもっている。知人や友人からは好奇心まじりの電話がかかり、ノイローゼ状態になっているという。
またその妹のもとにも友人からネットの映像が送られて真偽の程を確かめる問い合わせが殺到しているため、家の中は大混乱で家族関係もギクシャクしている。母親は当分娘を田舎の親戚に預けてホトボリを冷ます所存だが、娘の人生を一変させた悪戯は許せないと強調している。施設に送られた二人の学生は、弁護士が申請した保釈願いが認められて出所した。
このほか同じリオ市内の名門校、サント・イナシオ高校の男子学生二人が、十五歳の同級生の女子学生にオーラルセックスをさせてそれを撮影、サイト上に流した事件も摘発された。検察では起訴する意向だが、同校では三人を退学処分とした。
いっぽうで刑事告発はしていないが、同市のサンタ・カーザ病院の精神科医は二人の患者の治療を行っている。一人は十三歳の男子学生で、級友と小旅行に出掛けた際にホテルでシャワーを浴びている所を撮影され、インターネット上に流された。字幕には学生の名前と「ゲイ集団のサウナ風呂で」と書かれていた。家族は治療を終えた後、近郊へ転居した。
もう一人は十五歳の女子学生で、友人の家で泊まった際、裸の写真を撮られ、インターネットで流された。家族は弁護士を雇い、サイトから写真を削除した。女子学生は学校で冷やかしの的となったため、転校を余儀なくされた。
学生心理を分析する専門家筋は、学生という特権意識が、いたずらやいじめをエスカレートさせる原因だとしている。最近新入生へのいじめによる事故死が増加しているのも、その一例だという。イギリスでは、デジカメやカメラ付携帯電話を持っての登校を禁止し、この種のサイトを防止している。ブラジルでも学校当局の規制が必要となってくるし、家庭でも家族の対話で防犯に努めるといった工夫が肝要だとの見方をしている。